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かみそり

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

かみそり

剃刀とも書く。頭髪,ひげなどを剃るのに用いる刃物。『和名抄』仏具の部に「剃刀,玄奘三蔵表云鉄剃刀一口 (加美曾利) 」とあり,もとインドから中国を経て仏教とともに日本に伝来した。『安斎随筆』に「我が国に古へ髪剃る事なし。欽明天皇御宇,百済国より仏法渡り来り,我が国の人僧尼となれり。此時より剃刀を用ひ始めしなるべし」とある。初めかみそりは僧尼の剃髪に用いられたところから一般には忌まれ,幼児の産毛や女性・子供の眉毛を剃るにも毛抜きを用いた。武士の月代 (さかやき) も毛抜きを用いていたが,『和事始』に「剃刀は信長殿月代に用ひはじめたり」とあるように,天正年間 (1573~85) 頃からかみそりを使いはじめたようである。西洋かみそりは和かみそりより幅広く短くて重い。 20世紀初め K.ジレットにより安全かみそりが発明,発売されてのちは急速に安全かみそりが用いられるようになった。その後,モーターによって刃を回転させる電気かみそりが使われるようになった。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

かみそり
かみそり / 剃刀

現在ではひげを剃(そ)る理容器具の一種であるが、本来は僧侶(そうりょ)が剃髪(ていはつ)をするのに用いた物である。『和名抄(わみょうしょう)』には「加美曽利」という文字が僧坊具の一つに数えられている。つまり仏教の伝来とともに中国からもたらされたもので、僧侶が厳しい戒律によって、剃髪具として用いたことに始まるといえる。
 かみそりを用いて剃髪するようすは、『法然上人(ほうねんしょうにん)絵伝』といわれるものをはじめ、いろいろの絵巻にもみられる。室町時代まで、男性の理髪には毛抜きで毛髪を抜き(上杉本『洛中洛外図屏風(らくちゅうらくがいずびょうぶ)』)、僧侶以外に剃髪する者はなく、ひげを剃る風習もなかった。いいかえれば、頭髪やひげを手入れするのに、毛抜きをやめてかみそりを用いるようになったのは、天正(てんしょう)年間(1573~92)以後のことである。このあたりから、かみそりを用いて月代(さかやき)を剃る職業を一銭剃(いっせんぞり)とよび、多くは僧侶の副業であった。戦乱に明け暮れした時世であったから、月代をあける人が増え、必然的にこれを職業とする者が登場したわけで、山科言経卿(やましなときつねきょう)の日記には一銭剃僧、一銭剃の語がみえている。
 こうして露頂風俗と月代をあけることが一般化し、髪結職ができ、江戸時代に入って一般の間でもひげを剃るためのかみそりが普及した。現存するかみそりとしては、藤原義成の息女中将姫が、尼そぎをした際に用いられたものが、當麻寺(たいまでら)(奈良県)に保存されている。明治中期以降、ドイツから西洋かみそりが輸入され、のちには安全かみそりももたらされた。現在では電気かみそりも、一般化し、男子の日常生活に使用されている。[遠藤 武]
 かみそりは石器時代から使われており、石や骨、角(つの)などでつくられていたといわれ、古代エジプト時代に入って青銅のかみそりが使用されるようになった。現在では髪のカットにもかみそりが用いられ、ドイツのゾリンゲン市でつくられるレーザーは世界的に有名である。替刃式の安全かみそりは、1903年アメリカのキング・ジレットKing Camp Gillette(1855―1932)により発明されて以来、ホルダーや替え刃に改良が加えられ、以後ステンレス刃も出現した。[坪内靖忠]

かみそり負け

尋常性毛瘡(もうそう)の俗称。いわゆる毛瘡は、男性のひげ、まれに眉毛(びもう)(まゆ毛)や腋毛(えきもう)(わき毛)などの硬毛に一致して化膿(かのう)菌や真菌(かび)などの感染による毛嚢(もうのう)炎(毛包炎)を生じたものをいう。尋常性毛瘡はおもに表皮ブドウ球菌、ときに黄色ブドウ球菌によっておこる。男性の口ひげ、顎(あご)ひげの部分にまず紅色丘疹(きゅうしん)を生じ、これが膿疱(のうほう)となり、やがて破れて痂皮(かひ)(かさぶた)となるが、これらが混在して一部は融合し、湿疹化することもあり、慢性あるいは再発性に経過する。かゆみや皮膚がひりひりする感じを伴う。これを「かみそりかぶれ」とも俗称するが、これと混同しやすいものに、同じ部位に生じた皮膚かぶれがあり、これを「かみそり負け」とよぶのは誤りで、これは接触皮膚炎である。毛瘡の治療としては、ブドウ球菌に有効な抗生物質の内服や抗生物質を含んだ外用薬を用いる。患部への刺激を避けることがたいせつで、普通のかみそりによるひげそりをやめて、鋏(はさみ)を使ったり、電気かみそりを利用する。[野波英一郎]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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