な…そ(読み)なそ

精選版 日本国語大辞典 「な…そ」の意味・読み・例文・類語

な…そ

  1. 相手に懇願し、婉曲に禁止の気持を示す。どうか…してくれるな。どうぞ…してくださるな。な…そね。
    1. [初出の実例]「汝鳥(などり)にあらむを 命は那(ナ)死せたまひ曾(ソ)」(出典古事記(712)上・歌謡)
    2. 「なうとみ給ひそ」(出典:源氏物語(1001‐14頃)桐壺)

な…その語誌

( 1 )本来は「な」のあとに、連用形(カ変・サ変の場合は命令形の古形「こ」「せ」)を置くだけで、禁止の表現として十分であり、最後に添えられる「そ」は、禁止の気持をさらに強める働きをするものであったらしい。ただし「そ」を添える言い方も古くからあり、「な+連用形+そ」という型は、禁止表現の型として、早く固定した。中古末には「な」を落とした「…そ」という形で、禁止を表わすようにもなったが、近世には見られなくなる。
( 2 )「そ」に関しては、( イ )サ変動詞の古い命令形、( ロ )サ変動詞の古い未然形、( ハ )係助詞「そ」とつながるものなどの説がある。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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