改訂新版 世界大百科事典 「ナンキョクアザラシ」の意味・わかりやすい解説
ナンキョクアザラシ
Antarctic seal
鰭脚(ききやく)目アザラシ科Lobodontini族の哺乳類で,南極海に分布するカニクイアザラシLobodon carcinophagusをはじめ,ウェッデルアザラシLeptonychotes weddelli,ヒョウアザラシHydrurga leptonyx,ロスアザラシOmmatophoca rossiの4種の総称。分類的には4種ともモンクアザラシに近い。大型で,生息数が多い。4種とも南極大陸を取り囲む海氷域に分布する。ヒョウアザラシは海氷の外縁に分布し,ペンギンやアザラシを捕食する。カニクイアザラシはパックアイス域に分布し,オキアミを捕食する。生息数は鰭脚類中最大で,1500万頭以上である。ウェッデルアザラシは大陸縁辺部の定着氷域に分布し,呼吸孔を保持しつつ海氷下で過ごすことが多い。600m以上潜水する。ロスアザラシは数が少なく,その生態が知られていないアザラシである。
執筆者:内藤 靖彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報