ロスアザラシ(その他表記)Ommatophoca rossii; Ross seal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ロスアザラシ」の意味・わかりやすい解説

ロスアザラシ
Ommatophoca rossii; Ross seal

食肉目鰭脚亜目アザラシ科ロスアザラシ属。南半球に生息するアザラシのなかで最も小型の種である。体長は約 2.4m,体重は約 204kgに達し,雌は雄よりわずかに大きい。出生体長は約 1m,出生体重は約 16kgと推定される。体毛の色は背部が黒灰色で,腹部に向って淡くなり,腹部は銀色を呈する。顔面部および喉部から胸部にかけて,鮮かな茶色あるいは赤茶色の縞 (しま) が多数平行に走る。体型は短い紡錘形。鼻口部と頭部との境が目立たない。後肢はきわめて長く,体長の約5分の1に達し,鰭 (ひれ) 状。上顎下顎門歯が各4本,犬歯が各2本,頬歯が各 10本ある。頬歯は退化し脆弱 (ぜいじゃく) である。繁殖期は 11~12月。繁殖期以外は単独で行動する。おもにイカ類やタコ類を捕食するが,魚類オキアミ類を食べることもある。南極大陸周辺に周極分布し,通常は氷縁付近に出現する。まれに沖合いの流氷上で発見される。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ロスアザラシ」の意味・わかりやすい解説

ロスアザラシ
ろすあざらし
Ross seal
[学] Ommatophoca rossi

哺乳(ほにゅう)綱鰭脚(ききゃく)目アザラシ科の動物。体長2メートルの中形アザラシ。コルク色の体色を呈するが、のどから胸にかけて流れるような白い模様が特徴的。同時に小さい口裂と太い頸(くび)も特徴的である。南極海の密氷域に分布するが、生息数はナンキョクアザラシ中もっとも少ない。目が大きいことから優れた潜水能力をもつと思われている。イカ、魚を捕食する。繁殖、成長などの生態的情報は少なく、もっとも未知なアザラシの一つである。

[内藤靖彦]

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世界大百科事典(旧版)内のロスアザラシの言及

【アザラシ(海豹)】より

…ヒョウアザラシも雌雄ともに体長2.7m,体重500kgになる。カニクイアザラシ,ロスアザラシ,ウェッデルアザラシともに2mを超え大型である。小型の種は分布域の限定されたところに多く,もっとも小型の種は陸封されたバイカルワモンアザラシとカスピカイワモンアザラシで体長1.2~1.3m,体重50~60kgである。…

【ナンキョクアザラシ】より

…鰭脚(ききやく)目アザラシ科Lobodontini族の哺乳類で,南極海に分布するカニクイアザラシLobodon carcinophagusをはじめ,ウェッデルアザラシLeptonychotes weddelli,ヒョウアザラシHydrurga leptonyx,ロスアザラシOmmatophoca rossiの4種の総称。分類的には4種ともモンクアザラシに近い。…

※「ロスアザラシ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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