ヒョウアザラシ(読み)ひょうあざらし(英語表記)leopard seal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒョウアザラシ」の意味・わかりやすい解説

ヒョウアザラシ
Hydrurga leptonyx; leopard seal

食肉目鰭脚亜目アザラシ科ヒョウアザラシ属。体長は約 3m,体重は 270~450kg。大型の雌は体長約 3.6m,体重約 500kgに達する。出生体長は約1~1.6m,体重は約 30~35kgである。体毛の色は背部が黒褐色または青みを帯びた灰色で,腹部淡色である。全身に黒色またはねずみ色の斑が多数散在する。体はしなやかで細長く,頭部や顎 (あご) ががんじょうで大きいことから,爬虫類のようにみえる。鼻孔は広く丸みを帯び,鼻口部の先端に位置する。両顎は幅があり,長く深い。前肢が長く,体長の約3分の1ほどの長さで,形状は鰭 (ひれ) に近い。後肢も鰭状である。上顎下顎門歯が各4本,犬歯が各2本,頬歯が各 10本ある。出産は9月~1月に氷上で行われる。単独で行動することが多い。おもにペンギンを捕食するが,魚類やスルメイカ類のほか,後方の頬歯がのこぎり状で噛み合うので,オキアミ類を巧みにこし取って食べることもある。まれに死んだ動物を食べる。南極ならびに亜南極に広く分布し,多くは氷縁域に生息する。流氷に乗って陸地と氷縁間を移動する。亜南極収束線を越え南アフリカや南アメリカなどに迷入する。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒョウアザラシ」の意味・わかりやすい解説

ヒョウアザラシ
ひょうあざらし / 豹海豹
leopard seal
[学] Hydrurga leptonyx

哺乳(ほにゅう)綱鰭脚(ききゃく)目アザラシ科の動物。体長4.4メートルに達する大形の種である。背部は灰黒色、腹部は白色に黒色の斑点(はんてん)がある。前肢、後肢が非常に大きい。裂肉歯がよく発達し口裂も大きく、獰猛(どうもう)な表情を呈する。南極海のパックアイス(流氷群)域、外洋域に広く分布している。性格も荒く、ペンギンその他の海鳥、アザラシを多く捕食するため、南極海ではシャチとともに海のギャングとよばれる。

[内藤靖彦]


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小学館の図鑑NEO[新版]動物 「ヒョウアザラシ」の解説

ヒョウアザラシ
学名:Hydrurga leptonyx

種名 / ヒョウアザラシ
科名 / アザラシ科
解説 / 細長い体には白と黒の斑紋があり、口が大きく開きます。えものとなるカニクイアザラシやペンギンのそばにいます。
体長 / 最大記録はオス3.2m、メス3.6m
体重 / 270~450kg
食物 / オキアミ、魚、ペンギンやほかのアザラシ
分布 / 南極周辺の海

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