改訂新版 世界大百科事典 「モンクアザラシ」の意味・わかりやすい解説
モンクアザラシ
monk seal
鰭脚(ききやく)目アザラシ科モンクアザラシ属Monachusに属する哺乳類の総称。チチュウカイモンクアザラシ,ハワイモンクアザラシ,カリブカイモンクアザラシの3種からなる。低緯度海域に生息する唯一のアザラシで,絶滅の危機にあり,国際保護動物になっている。茶褐色の体色をし,体長は雌雄ほぼ等しく,2.1~2.4mである。頭が丸く,毛が細く比較的密生しその顔つきがちょうどキリスト教の修道士monkのようなところからこう呼ばれる。チチュウカイモンクアザラシは黒海,北アフリカを中心に500~600頭が分布する。ハワイモンクアザラシはウェーク島,ミッドウェー島などに約1000頭が分布している。かつてコロンブスによって食料に利用されたカリブカイモンクアザラシはほぼ絶滅したといわれている。人類との接触がもっとも古くからあったとされるアザラシであるが(アリストテレスによる解剖の記録も残っている),現在ではもっとも知られていないアザラシである。
→アザラシ
執筆者:内藤 靖彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報