改訂新版 世界大百科事典 「ナンジニア」の意味・わかりやすい解説
ナンジニア
African palm civet
Nandinia binotata
別名アフリカヤシジャコウネコ,キノボリジャコウネコ。テンに似た食肉目ジャコウネコ科の哺乳類。アフリカのスーダンからセネガル,アンゴラ,ローデシアに分布。体長44~58cm,尾長46~62cm,体重2~5kg。胴と尾は長く,四肢が短い。顔は比較的丸く,吻(ふん)はとがらない。体は厚い毛におおわれ,黄白色ないし栗色がかった灰色,または褐色で,尾に輪状斑がある。両肩に二つの白斑があり,目だつ。麝香臭を出す腺は指の間や下腹部にある。おもに樹上生,夜行性で,日中は木のまたや枝の上などで眠る。果実が主食だが,ネズミ類,鳥の卵,大型の甲虫なども食べる。雌雄ともなわばりをもち,雌のは約45ha,雄のは100haに達し,雄のなわばりは数頭の雌のものと重複する。なわばりの境界はにおいでマークされる。出産は年中見られるが,ピークは5月と10月。妊娠期間64日で,1産2子を生む。飼育下の寿命は15年10ヵ月の記録がある。
執筆者:今泉 忠明
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報