なわばり

百科事典マイペディア 「なわばり」の意味・わかりやすい解説

なわばり

動物学用語。テリトリーの訳。競争者の侵入に対し,動物が単独または複数で防衛する一定の地域。なわばりは,食物の確保を目的とするもの(アユタイヨウチョウに典型的に見られる)と,繁殖のためのもの(ライチョウトンボ類に典型的に見られる)とに大別できるが,多くの場合,その両方の機能を併せもつ。なわばりの防衛は,ふつう鳥類ではさえずり哺乳類ではにおいづけや威嚇行動などで行われ,直接的闘争を避けるが,それにもかかわらず侵入すれば,実力による闘いに発展する。その場合,一般になわばり内ではなわばり所有者の方が優位に立つことが多い。
→関連項目順位(動物行動学)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「なわばり」の意味・わかりやすい解説

なわばり
territory

動物の個体または集団が占有し,ほかの個体または集団の侵入に対して防衛する空間区域。テリトリーともいう。多くの脊椎動物やある種の昆虫にみられるが,鳥類,特に小鳥類やワシタカ類のなわばりは古くから知られている。なわばりの形態は種によって異なり,繁殖期につがいが巣の位置を含むある区域を防衛する場合から,非繁殖期のなわばり,集団のなわばり,巣や特定事物の防衛など,さまざまである。また,なわばりの機能も種によって異なるが,究極的には個体群の調節機構の一つと考えられている。

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知恵蔵 「なわばり」の解説

なわばり

動物が同じ種の他の個体から餌、配偶者、産卵場所、子などを守るために防衛する空間。なわばりの主は単独個体やつがいから群れまで種によって様々であるが、鳴き声、におい、ディスプレーなどで、なわばり所有者であることを周囲の個体に伝える。動物がふだん行動する範囲を行動圏(home range)と呼ぶが、行動圏となわばりは必ずしも一致しない。近隣者とのなわばり争いでは、一般になわばりの内部ではその持ち主が優位に立つ。

(垂水雄二 科学ジャーナリスト / 2007年)

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