てん(読み)テン

デジタル大辞泉 「てん」の意味・読み・例文・類語

て‐ん

[連語]てむ[連語]

テン(ten)

数の、10。じゅう。とお。

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精選版 日本国語大辞典 「てん」の意味・読み・例文・類語

テン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] ten ) 数の一〇。
    1. [初出の実例]「是非テン〔十円〕だけ渡してくれずば、なんとかかんとかいやアがるんさ」(出典:当世書生気質(1885‐86)〈坪内逍遙〉七)

て‐・ん

  1. 〘 連語 〙てむ

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普及版 字通 「てん」の読み・字形・画数・意味


6画

[字音] テン

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
止+廴(いん)。〔説文〕二下に「安たるなり」とあり、安歩のさまをいうとする。〔段注〕に「引いて復(ま)た止まる、是れ安なり」とは、廴を長行安歩、引く意を含むと解するものであるが、廴部に属する(廷)・(建)はみな中廷に関する字で、廴はその儀場を区画する形、歩行に関する字ではない。は中廷で静かに行動する意である。

[訓義]
1. しずかにあるく、しずかにあるくさま。
2. 字はまた蚩(し)に従う。

[古辞書の訓]
名義抄 トコロ 〔字鏡集〕 ウツル・ヤスクアユム・トコロ・オコタル

[部首]
〔説文〕にを部首とし、(延)をこの部に属する。



13画

[字音] テン

[説文解字]

[字形] 形声
声符は眞(真)(しん)。眞に(てん)の声がある。〔説文〕十一上に「州の池の名なり」とあり、四川の池をいう。その地はかつて零羌の住む地であった。いま雲南の昆明池をいう。その南端の石寨山遺迹からは、古代の青銅器が多く出土し、羌系西南夷の古代文化の一斑を知ることができる。

[訓義]
1. 池の名、四川の池の名。また雲南の池の名、昆明池。
2. 西南夷の名、零羌。
3. 水のさかんなさま、大水のさま。

[熟語]

[下接語]

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「てん」の意味・わかりやすい解説

テン(貂)
てん / 貂
Japanese marten
[学] Martes melampus

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科の動物。日本全国と、朝鮮半島南部に分布する。体長は雄で45~50センチメートル、尾長17~23センチメートル、雌はやや小さい。夏毛は全体に褐色で、耳からのどにかけて黄色、顔と四肢は黒い。冬毛は変異が大きく、キテンのように全体に美しい黄色で、頭と顔が白いものから、スステンのように地色は夏毛とほとんど変わらず、頭、顔、のどが淡い褐色となるものまで、およびその中間型もあり、色相によって区別される別型と考えられている。対馬(つしま)産の亜種ツシマテンM. m. tuensisの冬毛はスステンに似るが、頭、顔、のどは白い。テンの各型および亜種とも、四肢、とくにその先端はつねに黒いが、クロテンと違い尾の先端は黒くない。

[朝日 稔]

生態

テンは山地から平野部の森林にすみ、高山には少ないが、人里近くにもみられる。日中は樹洞などに潜み、夜間に活動する。雑食性で、昆虫、カエル、トカゲ、小鳥、ネズミなどの動物質のほか、果実も食べ、とくに秋にはノブドウアケビ、ムベなどをよくとる。木登りは非常に巧みである。繁殖期以外は単独で生活する。交尾は春から夏にみられ幅があるが、出産は4~5月に限られ、1産2~4子。夏にみられる交尾でも妊娠するかどうかわかっていないが、胎児が発育を停止する妊娠遅延があるとも考えられる。

[朝日 稔]

近縁種

テン属には、北アメリカにアメリカテンM. americanaフィッシャーM. pennantiの2種があり、ヨーロッパからアジアにクロテンM. zibellinaマツテンM. martes、キエリテンM. flavigulaなど7種がある。北海道にはクロテンしかいないとされていたが、最近キテンも発見された。しかし、これは移入されたものかもしれない。どの種も毛皮が美しいために乱獲され、一時は非常に減少したが、現在では世界各国とも保護策をとっている。また、クロテンは養殖もされている。体形はいずれも似ていて、イタチより大きく、四肢が長い。毛色は黄ないし黒褐色で、のどの部分が淡い。冬毛と夏毛で毛色が異なるものも多い。いずれも森林にすみ、昆虫や小動物のほか、果実も好む。

[朝日 稔]

人間生活との関係

テンは、毛皮を利用するためと夜行性のために、銃器によらず、とらばさみや箱わななどのわなで捕獲する。日本での捕獲数は年間1万頭、東北地方と群馬、長野、新潟、島根などの各県が多い。北海道と愛媛県は現在捕獲禁止としている。沖縄県には生息しない。利用はおもにコート、襟巻などで、寒い地域のキテンが価値が高く、なかでも背の下毛が白い根白(ねじろ)が最高級とされる。ついで下毛の赤褐色の根赤(ねあか)、黒褐色の根青(ねあお)となり、暖地のスステンは黒く染色して、より価値の高いクロテンの代用にされる程度である。また、テンは養鶏場養魚場へ侵入して害を与えることもあり、これらの業者からは嫌われている。

[朝日 稔]


テン(Teresa Teng)
てん
Teresa Teng
(1953―1995)

台湾の女性歌手。雲林県生まれ。日本以外での芸名は鄧麗君(デンリーチュン)。本名は鄧麗筠(デンリーユン)。アジア全体で広く活躍し、日本では日本語で、中国系の多いアジア各国では北京語、広東語などで歌った。

 台湾で11歳から人前で歌い始め、天才少女歌手としての名声を得る。1974年(昭和49)に進出した日本でも数々のヒット曲を放ち、演歌、歌謡曲のスターとして親しまれた。その後も、主に香港(ホンコン)で活躍。90年(平成2)前後の日本でのワールド・ミュージック・ブームにおいてアジアを代表する女性歌手であり、香港や台湾から広東語などで歌った多くのレコードも輸入され、新しいファン層を獲得した。また、中国系移民の多いアメリカでも活動、80年リンカーン・センターでコンサートも行っている。90年からはパリを生活の拠点の一つとした。

 世界を駆け巡った42年の彼女の生涯は数々の栄光に包まれていた一方で、旅券偽造による日本国外退去という事件(1976)のほか、死亡説流布、数々の恋愛など波瀾の人生でもあった。特に90年前後には中国民主化闘争を香港で支援する運動を先頭に立って展開、死去の際には謀殺説なども流れた。また、故郷台湾を愛し、台湾軍兵士慰問にも熱心に訪れた。こうした一面は、情愛表現の細やかな演歌歌手という日本におけるイメージを一変させるものだった。そして一連の活動は彼女の複雑な出自や育ちと無縁ではなかった。両親が大陸出身の外省人(第二次世界大戦後に台湾に渡来した中国人)であり、特に父は日本語教育を受けた国民党軍将校だった。父親のような存在は、大陸側の中国と台湾の対立、さらに外省人と本省人(台湾生まれの中国人)という対立のなかで、より微妙な立場に置かれたのだった。このことが彼女の生涯において、日本での活動を含めた多岐の活動として表れることになった。

 日本でのヒット曲に「空港」(1974。レコード大賞新人賞)、「つぐない」(1984)、「愛人」(1985)、「時の流れに身をまかせ」(1986)などがある。また、日本、香港、台湾での主な受賞歴としては、1972年香港十大スターに選出、83年『淡淡幽情(タンタンユウチン)』で香港アルバム・オブ・ジ・イヤー受賞、84~86年日本有線大賞、全日本有線放送大賞の各賞で3年連続グランプリ受賞、86年日本レコード大賞金賞受賞、90年ベスト・アルバム『'90ベストコレクション――涙の条件』で日本ゴールドディスク大賞アルバム賞(歌謡曲演歌部門)受賞などがある。95年タイのチエンマイで喘息発作で急死。死後の96年香港音楽業界の黄金の針賞受賞。

[東 琢磨]

『平野久美子著『テレサ・テンが見た夢――華人歌星伝説』(1996・晶文社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「てん」の意味・わかりやすい解説

テン (貂)
marten

食肉目イタチ科テン属Martesに属する哺乳類の総称,またはそのうちの1種を指す。テン類はヨーロッパ,アジア,アメリカに8種が分布する。イタチに似るが,体が大きく,がっしりしていて,とがった吻(ふん)と大きな耳をもつ。四肢は長い。尾には長い房毛(ふさげ)が生え,太く見える。木登りがたくみで,しばしば樹上で狩りをする。行動は敏しょうで,リスを追い枝から枝へ3.5mも飛ぶことができる。毛皮が優れ,毛皮獣として高い価値をもつ種が多い。体長38~58cm,尾長15~30cm,体重1~2.4kg。デンマーク,スペインからヒマラヤ,モンゴルにすむムナジロテンM.foina,西ヨーロッパからシベリアに分布するマツテンM.martes,アラスカからニューメキシコに分布するアメリカテンM.americana,キエリテンM.flavigulaなどがある。

 テンM.melampusは,本州,四国,九州と朝鮮半島南西部に分布する。美しい毛皮をもつ種で,基亜種のホンドテンM.m.melampusには,体色(冬毛)に東北地方などのおもに寒冷地にすむ全身黄色のものと,四国,九州などのおもに温暖地にすむ黄褐色のものとの二つの色相がある。前者はキテンと呼ばれ,哺乳類中もっとも鮮やかな色彩である。毛皮としては,下毛の色により根赤,根白,根黄色などと区別され,根黄色が最高級品とされる。後者はスステンと呼ばれる。夏毛はともに黒褐色。四肢の先は黒色。体長47~54cm,尾長17~23cm,体重2kg前後。低山から標高1800mくらいまでの山地の森林にすみ,木の洞や岩穴などを巣とする。おもに夜活動し,ネズミ,リスなどの中~小型の哺乳類,鳥類,トカゲ,カエルなどのほか,カキ,マタタビ,サルナシ,オオカメノキなどの果実を食べる。3~5月に2~5子を生む。

 日本にはほかに,北海道にクロテンM.zibellinaの1亜種エゾクロテンが生息する。体の大きさは,テンとほぼ同大だが,尾がやや短い。体色は灰褐色ないし黒褐色で,毛が絹状で,長く,美しいつやがある。クロテンの毛皮はセーブルsableと呼ばれ,毛皮中の最高級品の一つとして珍重される。北海道のエゾクロテンの毛皮は品質が若干劣るとされるが,乱獲がたたって激減し,捕獲禁止となっている。
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百科事典マイペディア 「てん」の意味・わかりやすい解説

テン(貂)【テン】

食肉目イタチ科の哺乳(ほにゅう)類。体長47〜54cm,尾17〜23cmほど。本州,四国,九州,対馬,朝鮮半島南西部に分布。森林にすみ,よく木に登る。夜行性でネズミ,リス,小鳥,果実などを食べる。1腹2〜5子。褐色で夏も冬もほぼ同色のスステン(本州中部以南に分布)と,夏は褐色だが冬には黄色に変わるキテン(東北地方に分布)の2型がある。キテンの毛皮は特に優良で,中でも下毛が黄色い根黄色が最高級。北海道,サハリン,シベリアに近縁のクロテンがすむ。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「てん」の意味・わかりやすい解説

テン
Martes melampus; Japanese marten

食肉目イタチ科。体長は雄 50cm,雌 40cm内外。尾長 20~30cm。体はすらりと細長く,頭部はやや扁平で幅広く,短い耳をもつ。前後肢とも短い。毛色は産地,季節により多少異なり,夏は全身褐色で,冬季に四肢の黒褐色部と頭,尾の白色部を除き美しい黄色になるものと,夏,冬とも暗褐色のものの2型が知られる。前者は本州北部に多い。毛はふかふかして上質で,毛皮として珍重される。夜行性で小動物を捕食する。日本の本州,四国,九州,対馬および朝鮮半島に分布する。

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世界大百科事典(旧版)内のてんの言及

【句読点】より

…書きことばに用いる〈まる〉(。または.)や〈てん〉(、または,)などの符号。まるを句点,てんを読(とう)点という。…

【毛皮】より

…毛皮用に供される動物は100種以上にのぼるが,動物の希少価値,毛皮製品の使用性に応じて,その経済的価値には大きな差異を生ずる。高級毛皮としては,ミンク,キツネ,テン,チンチラ,カラクールなどがある。ミンク,キツネなどが飼養され,またメンヨウ,ヤギ,ウサギなどの家畜が多く利用されている。…

※「てん」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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