改訂新版 世界大百科事典 「ニコデミズモ」の意味・わかりやすい解説
ニコデミズモ
nicodemismo
イタリアの歴史家D.カンティモーリが初めて歴史学用語として援用した言葉。彼によれば,イタリア宗教改革史の第2期において,異端審問所の再開(1542)による弾圧を恐れて,表面ではカトリックの信仰を装いながら内心ではプロテスタントにくみしていたイタリアの知識階層の宗教的偽装の態度を指す。ニコデモの名が冠せられるのは,もともと,このような態度をとる者を〈夜ひそかにイエスを訪れたニコデモ〉(《ヨハネによる福音書》3:1以下)に擬して〈ニコデモの徒〉とカルバンが論難した(《ニコデモの徒への釈明》1544)ことに由来する。ニコデミズモを最初に理論化したのはストラスブールのO.ブルンフェルスであり(1527),その後農民戦争の敗北と宗教による社会変革の挫折に伴い,ドイツ,フランスさらにイタリアの都市知識階層の間に広がったが,〈民衆的宗教改革〉の傍流にとどまった。なお,ニコデミズモをスペインのマラノス主義(コンベルソ)と関連づける説(M. バタイヨン)もある。
執筆者:森尾 総夫
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