ニトロアミン

化学辞典 第2版 「ニトロアミン」の解説

ニトロアミン
ニトロアミン
nitramine

】H2NNO2(62.03).ニトロアミンが学術用語であるが,通称,ニトロイルアミド,硝酸アミドともいう.ニトロアミド(nitramide)は誤称であるが,これも通用している.ニトロカルバミン酸カリウムに氷と濃硫酸を加えて生成したものを分離・精製すると得られる.無色の光沢のある結晶N-H1.0 Å,N-N1.43 Å,N-O1.18 Å.∠H-N-H115°,∠O-N-O130°.融点72~75 ℃(分解).常温でも不安定で,しだいに分解するが,加熱で分解は促進される(H2OとN2Oになる).石油エーテルクロロホルムに不溶,ベンゼンに微溶,エタノール,エーテル,水に易溶.水溶液は微酸性(K1 2.6×10-7)を示す.塩基を加えると分解する.次亜硝酸HON=NOHの異性体.[CAS 7782-94-7]【】C7H5N5O8(287.14).N-methyl-N,2,4,6-tetranitroaniline(通称:tetralite,tetryl)もニトロアミンという.融点131~132 ℃.pKa 11.7.爆薬の一種.[CAS 479-45-8]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニトロアミン」の意味・わかりやすい解説

ニトロアミン
にとろあみん
nitramine

(1)一般式RNHNO2あるいはRR′NNO2(Rはアルキル基アリール基など)で表される化合物の総称で、ニトラミンともいう。

(2)H2N-NO2の化学式で表される化合物で、ニトロアミドともよぶ。ニトロウレタンを濃厚な水酸化カリウムで加水分解し、続いて0℃で硫酸酸性にして脱炭酸させ、エーテルで抽出すれば得られる。化学式NO2NH2、式量62.0。


 無色の結晶で、75℃で分解する。水、エーテルに易溶、ベンゼンに難溶で、加熱すれば一酸化二窒素(笑気)N2Oと水を生じ、濃アルカリと混ぜると爆発する。水溶液は酸性を示し、速やかに分解する。次亜硝酸(HNO)2の異性体にあたる。

[加治有恒・廣田 穰 2015年3月19日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android