日本大百科全書(ニッポニカ) 「ニンジンイソギンチャク」の意味・わかりやすい解説
ニンジンイソギンチャク
にんじんいそぎんちゃく / 人参磯巾着
[学] Paracondylactis hertwigi
刺胞(しほう)動物門花虫(はなむし)綱六放サンゴ亜綱イソギンチャク目ウメボシイソギンチャク科に属する海産動物。日本特産種。体壁は黄橙(おうとう)色で細長く、滑らかである。体壁上端にいぼ状突起があり、これは周辺球に似ている。周辺球には特有の細長い刺胞が無数にあるのが特徴であるが、このいぼ状突起には特異な刺胞の密集は認められず、かつ先端に孔(あな)をもっている。隔膜は3環列の24対で、すべてが完全隔膜となる。触手は4環列の48本で太くて短く、先端はやや裁断状に終わる。触手は半透明の暗オリーブ色で、白点および褐色縦条を備える。体壁がニンジンのような色をし、細長いところからこの名がある。内湾性の浅海の砂泥底にすみ、小さな足盤で砂泥中の小石などにつき、触手を海底に広げる。本州中部地方から九州にかけて分布する。本種に近縁で、体壁が淡いねずみ色をしたダイコンイソギンチャクP. sinensisがあり、本州中南部と中国大陸の砂泥干潟に産する。
[内田紘臣]