日本大百科全書(ニッポニカ) 「ネーメット」の意味・わかりやすい解説
ネーメット
ねーめっと
Németh László
(1901―1975)
ハンガリーの小説家。医学を修めて数年の校医生活ののち、文筆活動に入った。1932年に雑誌『証人』を創刊し、やがて「民衆派」作家運動の理論的指導者となった。長編『喪』(1936)では農民の良心を、同年の『罪』では知識人の良心の問題を扱った。第二次世界大戦後発表された『恐れ』(1947)は女性の告白体による心理描写の傑作であり、『エーゲテー・エステル』(1956)は地方都市の中流家庭の歴史を三世代にわたって描いたものである。ほかに思想家としての面を結実させた『質の革命Ⅰ・Ⅱ』(1940)、『準備Ⅰ・Ⅱ』(1941)などの多数の論文や史劇、現代劇などにも手を染めている。
[岩崎悦子]