改訂新版 世界大百科事典 「ノシメマダラメイガ」の意味・わかりやすい解説
ノシメマダラメイガ
Indian meal moth
Plodia interpunctella
鱗翅目メイガ科の昆虫。前翅の開張1.1~1.8cm。翅はきわめて細長く,前翅の基部に近い半分は淡黄色,外半は紫赤色,後翅は白色,半透明。幼虫は貯蔵穀物や乾燥食品の大害虫で,米,クルミ,豆類,乾果,菓子などを食害する。発生周期はきわめて不規則で,冬季を除き年中卵から成虫までが見られる。ふつう年4回の発生で,幼虫態で越冬する。卵は加害物の上に点々と産みつけられる。産卵数は200くらい。幼虫は糸を吐き,米粒などをつづってその中に入って食害する。米穀倉庫に発生した幼虫は,老熟すると,俵の外に出て,クモの巣よりも密に糸を吐き,まるで薄い絹布を張ったようにした内側で,薄い繭をつくって蛹化(ようか)する。したがって,庫内で大発生すると,米俵の上層部は薄い膜で覆われ,その下で幼虫が活動しているのが見られる。成虫は4~10月に家屋内や倉庫内を飛んでいるところが見られるが,灯火に飛来することはない。ほとんど全世界に分布しているが,これは食糧の輸送に伴ってこのガが運ばれるからである。マメマダラメイガ,ノシメコクガの別名がある。
執筆者:井上 寛
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報