日本大百科全書(ニッポニカ) 「ハエカ」の意味・わかりやすい解説
ハエカ
はえか / 蠅蚊
wood gnats
昆虫綱双翅(そうし)目糸角亜目原カ群の1科Anisopodidaeの総称。この科は従来カバエとよばれていたが、系統上の取扱いから改称された。体はカよりも太く、ずんぐりしている。頭部はほぼ球形、複眼は雄では合眼的で、単眼三角部は突出する。雌では離眼的。触角は16節、小腮鬚(しょうさいしゅ)は4節。口吻(こうふん)は短小。胸部背面は半球状に膨出する。はねは大きく、明瞭(めいりょう)な中室がある。脚(あし)は細く、中脚脛節(けいせつ)末端には短い距刺(きょし)をもつ。幼虫は頭が丸形で細長く、腐食性。
代表種のマダラハエカSilvicola japonicaは体長・翅長とも6~7ミリメートル。灰褐色で、胸部背面には暗褐色の太い「小」字形の斑紋(はんもん)が明瞭で、黄白色の長毛が生える。はねの前縁寄りは煤(すす)色を帯び、第3径室前縁にある透明紋は長方形で、径分脈の前枝を越えて後方隣室へ広がる。脚は黄褐色、中脚と後脚では腿節(たいせつ)と脛節のそれぞれの末端は黒褐色。腹部背面は暗褐色で、各節後縁は狭く灰褐色。スズキハエカSilvicola suzukiiは、前種に似るが、はねの前半部はより暗色で、透明紋が明瞭である。第3径室前縁に接する透明紋は短く、ほぼ正方形で、その下方隣室の円紋は、外方に外れていることにより容易に区別することができる。
[伊藤修四郎]