ハット・ボイ(その他表記)Hat Boi

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ハット・ボイ」の意味・わかりやすい解説

ハット・ボイ
Hat Boi

ベトナムの古典歌劇ハットは「歌う」,ボイは「身ぶり」あるいは「姿態」を意味し,身ぶりを主とした歌劇である。 13世紀の末,陳仁宗 (チャン・ニャン・トン。 1279~93) 王がモンゴル軍と戦った際,捕虜とした兵士から伝えられた。その身ぶりや舞台で用いる道具などには,中国戯劇の影響が強くみられる。中国の歴史上の人物を描いた『ホアン・フィー・ホ』,唐代の反乱を描いた『ファン・ドゥオン』が知られる。クアンナム朝 (1558~1777) の歴代の王に保護されて発展,20世紀になって急速に衰退したが,今日,ホーチミンでは寺院のなかで上演されることが多い。

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世界大百科事典(旧版)内のハット・ボイの言及

【ベトナム】より

…独奏だけでなく数種の楽器による演奏でも,細かいニュアンスづけが生かされて,きわめて繊細な音楽づくりになっている。 なお,ベトナムの古典演劇(ハット・ボイhat boi)でも改良劇(ハット・カイ・ルオンhat cai luong)でも,音楽は不可欠な要因である。 さらに60に及ぶ少数民族も固有な音楽と楽器をもっている。…

※「ハット・ボイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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