はり麻酔(読み)はりますい

百科事典マイペディア 「はり麻酔」の意味・わかりやすい解説

はり麻酔【はりますい】

特定の〈つぼ〉にはりを刺し入れ,麻酔効果を起こす方法。中国で1959年ころからはり治療手術の麻酔に応用することが考案され,1972年には40万例ものはり麻酔手術が行われて世界医学界の注目を集めた。近年,日本でも追試され,臨床にも使われている。〈つぼ〉は経絡説にもとづいて手術部位から離れたところを選び,手術中はりに電気を流したり,絶えずはりをひねったりして局部麻酔状態をつくる。麻酔効果を起こす機作は不明。器具が簡単で副作用がない,意識があるので患者の協力がえられる,術後回復が早いなどの利点がある。

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世界大百科事典(旧版)内のはり麻酔の言及

【はり(鍼)】より

…治療のために用いられる金属性の針または針状の器具で,金,銀,プラチナ,鉄,ステンレス鋼などで作られている。鍼の語はまたこの器具を用いて行う鍼治療をもさす。鍼治療は中国で発達した独特の治療法の一つで,その起源は明らかではないが,《黄帝内経素問》に鍼の生理,病理,治療などについて記されている。鍼治療は朝鮮,ベトナム,タイなどの周辺地域へと伝播したが,日本には573年ころ朝鮮を通じて伝わったとされ,701年(大宝1)の大宝令の医疾令には鍼師,鍼博士,鍼生の制度が設けられている。…

※「はり麻酔」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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