化学辞典 第2版 「ハンチ合成」の解説
ハンチ合成
ハンチゴウセイ
Hantzsch synthesis
ドイツの化学者A.R. Hantzsch(ハンチ)によって発見された,ピリジン,ピロール,チアゾールの誘導体の合成法.【Ⅰ】ピリジン合成:1モル量のアルデヒド,1モル量のアンモニア,および2モル量のβ-ケトカルボン酸エステルを温めて反応させると,1,4-ジヒドロピリジン-3,5-ジカルボン酸エステルの2,6-または,2,4,6-置換体ができる.この生成物のエタノール溶液に三酸化二窒素を通じて脱水素し,さらに加水分解,脱炭酸するとピリジンの2,6-または2,4,6-置換体が得られる.β-ケトカルボン酸エステルのかわりにシアノ酢酸エステル,マロン酸エステル,β-ジケトンなどを用いても同様に縮合し,ピリジン置換体を得ることができる.一般に収率は良好である.【Ⅱ】ピロール合成:α-クロロカルボニル化合物,β-ケトカルボン酸エステル,およびアミンの縮合によりピロールの置換体を合成する反応.
【Ⅲ】チアゾール合成:α-ハロカルボニル化合物とチオアミド,またはチオ尿素の縮合によりチアゾールの置換体を合成する反応.
R3 がNH2であるチオ尿素がよく用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報