日本大百科全書(ニッポニカ) 「チアゾール」の意味・わかりやすい解説
チアゾール(データノート)
ちあぞーるでーたのーと
チアゾール(1,3-チアゾール) | |
分子式 | C3H3NS |
分子量 | 85.1 |
融点 | -33℃ |
沸点 | 117℃ |
比重 | 1.1998(水17℃) |
屈折率 | (n)1.4854 |
イソチアゾール(1,2-チアゾール) | |
分子式 | C3H3NS |
分子量 | 85.1 |
融点 | ― |
沸点 | 113℃(770mmHg) |
比重 | 1.171(測定温度20℃) |
屈折率 | (n)1.5320 |
チアゾール
ちあぞーる
thiazole
5員環複素環式化合物の一つ。化学式からわかるように環内に硫黄(いおう)と窒素の両原子をもつので、環内にある硫黄を意味する接頭語のチアthia-を窒素を含む5員環化合物の名称アゾールazoleの前につけて命名された。5員環にSとNをもつ複素芳香族化合物には、SとNが隣接している化合物と、一つのCを隔ててSとNがある化合物の2種類の異性体があり、前者をイソチアゾール(1,2-チアゾール)、後者をチアゾール(1,3-チアゾール)という。
チアゾールはクロロアセトアルデヒドClCH2CHOと、チオホルムアミドHCSNH2との反応により合成される。無色の水より重い液体で、水にかなり溶け、エタノール(エチルアルコール)、エーテルなどの有機溶媒と任意の割合で混じり合う。芳香族性をもつ安定な化合物である。サルファ剤として知られているサルファチアゾール、チアゾールアゾ染料、ビタミンB1などはいずれもチアゾール環をもっている。イソチアゾール骨格をもつ化合物も、生理活性をもち医薬などとして使われている。
[廣田 穰]