精選版 日本国語大辞典 「立体化学」の意味・読み・例文・類語
りったい‐かがく ‥クヮガク【立体化学】
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分子内の原子や原子団の空間的配置を研究する化学の一分野。立体異性の問題、あるいは原子や原子団の空間的配列と化合物や化学種の反応性、物理的性質などとの関連が研究の対象となる。
有機化合物については、フランスのパスツールによる酒石酸の異性体の発見(1848)がその端緒である。これからやがて炭素原子の四面体説(ファント・ホッフ、ル・ベル)、不斉炭素原子概念の導入によって基礎ができ、ドイツのH・フィッシャーによる糖類の構造など環式化合物の立体構造、立体配置、立体配座などが広く研究されてきた。
無機化合物に関しては、ドイツのハンチArthur Hantzsch(1857―1935)やウェルナーによって錯イオンを中心として基礎が築かれた。種々の配位構造に基づいた異性現象の研究が蓄積されてきた。
有機化学、無機化学の両分野ともに、分子構造を物理化学的方法によって精密に解析することが可能となってから立体化学の研究は急速に発展し、X線による絶対構造の決定のほか、赤外・ラマンスペクトル・紫外・可視の吸収スペクトルや旋光分散、核磁気共鳴などが利用されるようになった。逆にこれらの手法によって、いままで単純と思われていたものが案外に複雑な立体構造のものと判明したものも少なくない。水島三一郎、森野米三による回転異性体の発見などもその一例である。
ポリプロピレンなどの立体規則性の研究も立体規制合成法も、立体化学の基礎なくしてはありえなかったのである。研究手法の増加によりますます対象の広がりつつある分野といえよう。
[山崎 昶]
『竹内敬人著『立体化学入門』(1980・講談社)』
化合物の三次元構造とその性質との関係を研究する化学の分野.主として立体異性体の立体構造とそれらの物質的化学的性質が取り扱われ,化学反応の結果から演繹(えき)的に結論されてきたが,20世紀における量子化学や物理的測定法の進歩により,直接的に実証されるようになった.それに貢献した諸法は,X線回折やX線結晶学,中性子線や電子線の回折を利用した構造解析,振動回転スペクトル,ラマンスペクトル,双極子モーメントの測定による微細構造の解明などである.現在では上記の諸法に加え,電子スペクトル,旋光分散,円偏光二色性,核磁気共鳴などが加わり,反応経路における立体配置の変化なども明らかにされており,立体化学の成果をもとに有機化学者は複雑な化合物の選択的合成や生体反応の機構解明に挑戦している.今後の発展が期待されている化学分野である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…チューリヒ工科大学,ゲッティンゲン大学,ハイデルベルク大学の教授を歴任。気体分子量測定法として有名な〈ビクトル・マイヤー法〉の考案(1878),オキシム生成の反応(1882),チオフェンの発見(1883),〈立体化学stereochemistry〉という用語の提唱(1888),オルトに置換基を有する安息香酸がエステル化しにくいことを発見して〈立体障害〉と呼ぶなど(1894),化学の発展に大きな影響を及ぼしたが,病弱のため自殺した。【岩田 敦子】。…
…チューリヒ工科大学,ゲッティンゲン大学,ハイデルベルク大学の教授を歴任。気体分子量測定法として有名な〈ビクトル・マイヤー法〉の考案(1878),オキシム生成の反応(1882),チオフェンの発見(1883),〈立体化学stereochemistry〉という用語の提唱(1888),オルトに置換基を有する安息香酸がエステル化しにくいことを発見して〈立体障害〉と呼ぶなど(1894),化学の発展に大きな影響を及ぼしたが,病弱のため自殺した。【岩田 敦子】。…
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