化学辞典 第2版 「バイコールガラス」の解説
バイコールガラス
バイコールガラス
Vycor glass
96% シリカガラスともいう.ホウケイ酸ガラスから分相([別用語参照]ガラスの分相)を利用してつくられた高シリカガラス.1938年,アメリカのCorning Glass Worksから発表された.シリカガラスは融点が高く製造困難であるのに対し,融点の低い5重量%Na2O,20重量%B2O3,75重量%SiO2付近の組成のガラスを成形したのち,600~700 ℃ の温度域の定温で処理して“からみあい”型の分相を起こさせ,Na2O・5B2O3に近い組成のガラス分離相を冷却.その後,希塩酸などで溶出して高シリカ質の多孔体を残し,乾燥後,これを徐々に1000 ℃ 以上に加熱して透明な高シリカ質ガラス製品とする.密度2.18 g cm-3.膨張係数(7.8~8.0)×10-7 K-1.軟化点1510±30 ℃.石英ガラスよりも加工性がよく,各種の耐熱性容器,殺菌ランプ,超高周波電気絶縁体などに用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報