石英ガラス(読み)せきえいがらす(英語表記)quartz glass

翻訳|quartz glass

日本大百科全書(ニッポニカ) 「石英ガラス」の意味・わかりやすい解説

石英ガラス
せきえいがらす
quartz glass

特殊ガラスの一つで、二酸化ケイ素だけの単成分からできているガラスシリカガラス通称不純物の多少によって性能も異なるが、概して熱膨張係数が5~6×10-7と小さく、徐冷温度も1140℃と高いため、耐熱性、耐熱衝撃性とも実用ガラス中で頂点にたち、理化学用器として重要である。珪砂(けいさ)または水晶から電気溶融でつくる。前者は微細な気泡のため不透明だが、後者は透明で品質も高い。光通信や半導体プロセスなどに使う超高純度のものは四塩化ケイ素(液体)、モノシラン気体)などから気相合成でつくられ、光吸収損失の原因となる遷移元素などの不純物含有率が最低10億分の1以下のものまである。光通信用ファイバーは気相合成法の一種化学蒸着によってつくられる。

[境野照雄・伊藤節郎]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「石英ガラス」の意味・わかりやすい解説

石英ガラス
せきえいガラス
silica glass

二酸化ケイ素だけから成る特殊ガラス。水晶屑,純度の高いケイ石などを溶融してつくる。非常に融解点が高く,製作には電気炉などで 2000℃近くの高温を必要とする。特徴として,高温に耐え (軟化点 1500℃) ,急冷急熱に強く,また膨張係数が 5×10-7 と極端に小さいためひずみが少く,耐食性が強いなど,すぐれた性質をもつ。また紫外線をよく透過させる特性もある。高加熱器具や理科学実験器具の部品高圧水銀灯のバルブ,光学レンズ,プリズムなどに広く使われる。

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