高温の物質から熱を奪い,低温の状態にする操作およびその過程をいう。一般に物質は,ある温度以上になると,固相→液相,液相→気相,あるいは同じ固相でもその組織が変わったり,磁性などの物理的性質が変わるといった相転移を起こす。したがって,ある系を安定して運転するためには冷却が必要となる。工作機械で切削面に油を注いで冷却したり,原子炉で炉心に冷却材を通して熱を炉外に出しているのはそのためである。動力炉の場合は,取り出した熱を動力源として利用している。また,化学や金属工学では高温の気相や液相で得られた物質を冷却して液相や固相にする操作が行われる。この場合,冷却速度が問題となる。例えば,炭素鋼を冷却する際,オーステナイトを徐冷するとある温度でパーライトに変態するが,急冷すると一部のオーステナイトが非常に低温まで過冷されて残る。冷却速度をさらに大きくすると,パーライト変態は起こらず,マルテンサイト変態を起こす。
執筆者:福本 俊彦
相転移(一次)を起こす転移温度より低温になっても転移が起こらず,もとの相(高温相)が存在する現象,あるいはその状態を過冷却といい,過熱の逆の現象である。凝固点以下の温度の液体(過冷却液体)は,その一例で,これは液体を静かに保ってゆっくり冷却することによって実現できる。過冷却は,過熱の場合と同様,転移温度以下でも高温相が準安定状態として存在し得るために起こるもので,外からの刺激によって容易に壊れる。例えば,1atmの下で,水は約-12℃まで液体でいられる(0℃以下では,固体,すなわち氷として存在したほうが,熱力学的には安定である)が,このような0℃以下の過冷却水に外部からわずかの衝撃を与えると,準安定状態が破れて急に固化し始める。なお,液体が凝固点以下の温度でも固化せず液体のままでいる現象を過融解ということもある。
執筆者:小野 嘉之
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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