改訂新版 世界大百科事典 「バクソン蜂起」の意味・わかりやすい解説
バクソン蜂起 (バクソンほうき)
1940年,北部ベトナム山岳地帯に起こったインドシナ共産党の指導による反仏蜂起。この年9月23日,中国南部にあった日本陸軍は,日・仏印協定の成立を待たずにいっせいに武力越境してベトナムに入り,ランソン方面のフランス軍を駆逐,ハノイに迫った。同月27日,フランス軍撤退後の無政府状況を利用して,少数民族トー(タイ)族を中心とする蜂起が北部山岳地帯のバクソンBac Sonのモーニャイに起こった。蜂起は復帰したフランス軍の白色テロルに対抗するため,インドシナ共産党北部委員会の指導下に急速に組織化された。これをバクソン遊撃隊といい,ベトナム解放区闘争の初めである。翌41年2月,前年の反ファシズム統一戦線の結成をうけて,遊撃隊は救国軍第1中隊に改組され,対仏ゲリラ戦を展開したが,9月フランス軍の急襲をうけて壊滅した。しかし,その伝統はチュー・バン・タンの率いるボーニャイの第2中隊に継承された。44年12月,救国軍は武装宣伝隊に改組され,ベトナム人民軍の直接の母体となった。
執筆者:桜井 由躬雄
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