救国軍(読み)きゅうこくぐん(その他表記)Cuu Quoc Quan

改訂新版 世界大百科事典 「救国軍」の意味・わかりやすい解説

救国軍 (きゅうこくぐん)
Cuu Quoc Quan

ベトナム北部山岳地帯の共産党系武装組織。その前身は1940年9月のバクソン蜂起の過程で組織されたバクソン遊撃隊(40年12月時点で20名)である。遊撃隊は41年2月共産党中央委員会の決定に従って救国軍に改組され,仏領インドシナ政府軍の再三の鎮圧作戦に耐えつつ41年9月には第2中隊(40名),44年2月には第3中隊(30名)を設け,活動区域を広げた。事実上の指導者は山岳民族出身のチュー・バン・タンであるが,党は中央から指導幹部を派遣すると共に,軍内部に党組織を構築してその掌握に努めた。救国軍の任務はバクソン解放根拠地を防衛・拡大すると共に,大衆(山岳民族)の政治的・軍事的な動員と訓練,および敵への内部工作を行うことにあった。村落レベルの武装自衛組織(自衛隊)と共にゲリラ活動なども行ったが,その規模より推して救国軍を単なる実戦部隊として理解すべきではない。バクソン根拠地は,党・ベトミン中央司令部が置かれた後方カオバン根拠地とトンキン平野部との中間に位置し,戦略的にも極めて重要な意味を持った。43年末にはチュー・バン・タン指揮のバクソンからの北進ボー・グエン・ザップ指揮のカオバンからの南進作戦が成功して両根拠地が直接連結し,以降救国軍とザップの指導する解放軍宣伝隊(44年結成)の共同作戦を可能にした。45年5月両者はベトナム解放軍として組織的に統一され,今日のベトナム人民軍源流となった。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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