バッガラ(読み)ばっがら(英語表記)Baggara

日本大百科全書(ニッポニカ) 「バッガラ」の意味・わかりやすい解説

バッガラ
ばっがら
Baggara

アフリカ、スーダン中央部、白ナイル川の西側、チャドとの国境付近までのサバナ地域に住み、牛の遊牧を行う人々の総称。バッガラとは牛飼いを意味する。イスラム教徒でアラビア語を話し、自分たちはアラブの血を引くと考えている。おそらく数世紀前にアラブ地域から西進、南下してきたと考えられるが、その間にネグロイド(黒色人種)の血がかなり混じっている。バッガラ人はホムル、カバビシュ、シャイキアら多数の部族に分かれ、バッガラ人としての統一はない。部族は1人ないし2人のナジールとよばれるリーダーに率いられる。最大の部族ホムルの場合だとさらにアジャイラとフェライタに分かれ、それぞれにナジールがいる。この集団はいくつかのオモデヤとよばれる集団に分かれ、オモデヤはさらに細分されてスーラという単位に分かれる。スーラは5~6世代前に共通先祖をもつ父系血縁集団であり、これがもっとも重要な社会集団である。バッガラ人は、スーラ、またはそれを2、3に分けた集団で水と牧草を求めて季節ごとに移動しながら牛を飼う。乾期には湿地帯に南下し、雨期には半砂漠地域に向かって北上する。その旅の途中で雑穀の種を播(ま)き、帰りに収穫する。生活多くを牛に依存しており、牛はもっとも重要な財産である。結婚のときには婚資として牛を妻方へ支払う。妻は4人までもてる。結婚は同じスーラ内、とくに父方平行いとこ婚が好まれる。

[板橋作美]

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