改訂新版 世界大百科事典 「バルゼア」の意味・わかりやすい解説
バルゼア
várzea[ポルトガル]
一般に川沿いの低平な土地あるいは増水期には水に浸るはんらん原のこと。川が運んでくる浮遊物質が堆積し,土壌が更新されるのでよく農業に利用される。ブラジルのアマゾン川流域のものが世界的に有名で,その面積は6万4400km2もあると推定され,これはベルギーの国土面積のほぼ2倍に相当する。雨量は多いが,乾季と雨季で水位の変化が大きいアマゾン川,流域の大半が半乾燥地帯で占められ,乾季と雨季が明瞭なブラジル北東地域を流れるサン・フランシスコ川やパルナイバ川の流域では,バルゼアを利用した農業が行われている。このような農業も地域によって呼び名が違う。例えばサン・フランシスコ川流域では,この農業方法をバザンテ耕作cultura de vazanteと呼び,アマゾン川上流のリオ・ブランコ市周辺では河畔耕作cultura de praiaと呼んだりする。
→アマゾニア
執筆者:西沢 利栄
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報