日本大百科全書(ニッポニカ) 「バージー・ラーオ」の意味・わかりやすい解説
バージー・ラーオ(1世)
ばーじーらーお
Bājī Rāo Ⅰ
(1700―1740)
インド、デカン地方を中心としたマラータ王国の第2代宰相(ペーシュワー)。1707年にシャーフーを王として再建されたマラータ王国の初代宰相バーラージー・ビシュワナートの長子。初代宰相のときマラータ王国の実権を完全に掌握し、バージー・ラーオ1世のときに、マラータ勢力はきわめて強大になった。
[小谷汪之]
バージー・ラーオ(2世)
ばーじーらーお
Bājī Rāo Ⅱ
(?―1852)
インド、マラータ王国最後の宰相(ペーシュワー)。プーナ(現、プネー)の宰相府を実質上の中心としたマラータ勢力は、1775年以降しばしばイギリス勢力と戦ったが、有力な武将がイギリスと同盟するなど内部分裂を深め、バージー・ラーオ2世自身の性格の弱さもあって弱体化していった。1818年の第三次マラータ戦争で宰相府は滅ぼされ、彼は北インドのカーンプルに流された。なお、彼の養子ナーナー・サーヘブNānā Sāhib(1824ころ―1860ころ)はイギリスによって年金の支払いを拒否されたこともあり、インドの大反乱(セポイの反乱)に参加した。
[小谷汪之]