日本大百科全書(ニッポニカ) 「バーバリ」の意味・わかりやすい解説
バーバリ
ばーばり
Barbary
北アフリカのリビア、チュニジア、アルジェリア、モロッコの地中海沿岸部を総称する地名。マグレブ地方とほぼ同じ地域をさす。地名の起源は二説がある。この地域には、古くからフェニキア、ギリシア、ローマなど北の勢力の支配を受け、沿岸にはトリポリ、カルタゴなど多くの植民都市があった。ギリシア人、ローマ人はこの地域を「異民族の住む土地」という意味でバーバリ地方とよんだという。近世になり、この地域はオスマン帝国の支配下に入ったが、アルジェなど沿岸の港は海賊の基地となり、西地中海を航行するヨーロッパの船に大きな損害を与えた。こうした海賊行為のため、ヨーロッパ人はこの地域をバーバリ(野蛮)地方とよんだともいう。アメリカは1801~05年および1815年、この地域の海賊討伐のための戦争を行ったが、これはバーバリ戦争とよばれた。現在はマグレブ(アラビア語で西の意)の語が用いられることが多い。
[藤井宏志]