パレート法則(読み)パレートほうそく(その他表記)Pareto's law

改訂新版 世界大百科事典 「パレート法則」の意味・わかりやすい解説

パレート法則 (パレートほうそく)
Pareto's law

所得分布の型について最初に見いだされた経験法則。所得水準をyy以上の所得を有する総人員数をNとし,Ap定数とすれば,

 NAyp (A>0,p>1) 

という関係が近似的に成立することを1897年にV.パレートは提唱した。この関係をパレート法則という。パラメーターpはパレート指数とよばれ,その値が小さいほど分布は不平等となる。後に発見されたジニ法則も完全平等の場合を除けばパレート法則と同等であることが知られている。パレート法則は低所得階層でうまくあてはまらない場合が多い。今日,パレート法則は高所得階層の分布が得られない場合その推定に利用されている。
ジブラ法則 →所得分布
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のパレート法則の言及

【厚生経済学】より

…どの個人の満足水準も低下させず,少なくとも1人の個人の満足水準を高める変化をパレート改善という。実現可能な資源配分で,もはやパレート改善不可能なものをパレート最適という。これは,資源がむだなく効率的に使われている状態である。…

【新古典派経済学】より

… 今日の新古典派経済学を他の学説から分かつ特徴は,第1に,消費者および企業はきちんと定義された目的関数を最大化するような合理的行動をとると仮定することにあり,第2に,経済財の取引には広範な市場が存在して,しかも価格が伸縮的に動いて需要供給の一致が比較的スムーズに起こると仮定することにある。そのうえですべての財の市場において価格支配力をもつ経済主体が存在しないならば,一般均衡が成立することを立証し,しかもその均衡はパレート最適であるがために規範的にも望ましいことを主張する。1930年代に行われたJ.ロビンソンやE.チェンバレンの独占的競争理論も,独占の弊害を指摘し,市場が資源配分にバイアスをもたらすことを明らかにしたものの,合理的行動と市場均衡という新古典派の基本仮説を否定するものではなかった。…

【パレート】より

…これは,後にアレン,ヒックス,デブルーらへと続く選択理論の先駆的業績として高く評価されている。また,効用の可測性および個人間の比較可能性の仮定を排除しつつ,資源配分の最適性を定義するという,〈オフェリミテophélimité〉の極大,後にパレート最適と名づけられる概念を開発したのもこの著においてである。ローザンヌ大学退職後パレートは社会学的研究に没頭し,社会的存在としての人間の全体像をとらえようとする大著《一般社会学概論Trattato di sociologia general》全2巻(1916)を著した。…

【ミクロ経済学】より

…一般均衡の条件である需要と供給の均等を意味する連立方程式体系を分析することにより,たとえば生産技術の変化が均衡価格体系を,どのように変化させるかを検討することができる。さらに,このような競争的な一般均衡状態は,諸資源のさまざまな用途への配分がパレート最適になっていることを厚生経済学は明らかにしている。 しかし,実際には必ずしも価格が円滑に調整されて需要と供給が均衡するとは限らない。…

※「パレート法則」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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