パレート(その他表記)Vilfredo Federico Damaso Pareto

デジタル大辞泉 「パレート」の意味・読み・例文・類語

パレート(Vilfredo Federico Damaso Pareto)

[1848~1923]イタリアの経済学者・社会学者。ワルラス後継者として、一般均衡理論無差別曲線による消費者選択の理論の上に発展させた。また、のちのパレート派厚生経済学でいう「パレート最適」の考え方を導入するなど多く業績をあげた。

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精選版 日本国語大辞典 「パレート」の意味・読み・例文・類語

パレート

  1. ( Vilfredo Federico Pareto ビルフレド=フェデリコ━ ) イタリアの数理経済学者、社会学者。一般均衡理論所得分布法則を唱え、さらに社会構造論(エリート論)を展開した。主著経済学提要」。(一八四八‐一九二三

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改訂新版 世界大百科事典 「パレート」の意味・わかりやすい解説

パレート
Vilfredo Federico Damaso Pareto
生没年:1848-1923

一般均衡理論および新厚生経済学の開拓者的地位を占めるイタリアの経済学者,社会学者。パリに生まれ,トリノ理工科大学で自然科学系の学問を学んだ後,鉄道技師,製鉄会社支配人などを経て,1892年L.ワルラスの後継者としてローザンヌ大学教授になる。パレートはその著《経済学講義Cours d'économìe politique》(1896-97)において,理論的には基本的にワルラスの延長線上にあるが,実証的研究にすぐれたところを示し,とくに所得分布の不平等度に関するパレート法則の定式化はよく知られている。

 しかし彼がワルラスから脱皮して独自な理論を構築したのは,《経済学提要Manuale di economia politica》(1906)においてである。そこにおいて彼は,ワルラスの限界効用概念を捨てて無差別曲線分析を展開した。これは,後にアレン,ヒックス,デブルーらへと続く選択理論の先駆的業績として高く評価されている。また,効用の可測性および個人間の比較可能性の仮定を排除しつつ,資源配分の最適性を定義するという,〈オフェリミテophélimité〉の極大,後にパレート最適と名づけられる概念を開発したのもこの著においてである。ローザンヌ大学退職後パレートは社会学的研究に没頭し,社会的存在としての人間の全体像をとらえようとする大著《一般社会学概論Trattato di sociologia general》全2巻(1916)を著した。そこでは民族主義的色彩が強く打ち出されており,イタリア・ファシズムの思想的源流とみなされることもある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パレート」の意味・わかりやすい解説

パレート
ぱれーと
Vilfredo Federico Damaso Pareto
(1848―1923)

イタリアの経済学者、社会学者。パリに亡命したイタリアの貴族の子として生まれる。10歳のときイタリアに帰り、大学では数学や工学を学んだ。卒業後技師や実業家となったこともあるが、のちに経済学の研究を始め、1893年に45歳でワルラスの後継者としてスイスのローザンヌ大学教授となり、15年間在職した。パレートの経済学はワルラスの一般均衡理論を受け継ぎ、消費理論では、基数的効用理論にかわって無差別曲線に基づく序数的効用理論を展開して、現代の消費者選択理論の基礎を築き、厚生経済学の面では、社会の経済的厚生の極大化についていわゆるパレート最適性の考え方を導入し、新厚生経済学への道を開いた。また所得分布については、統計調査に基づいてパレートの法則とよばれる所得分布の不平等度を示す経験的な経済法則を導出した。社会学にも強い関心を示し、ローザンヌ大学退職後はジュネーブで社会学の研究や執筆に従事した。彼の社会学は人間行動を合理的な行動としてとらえるだけでなく、不合理な行動の面をも重視したことから、イタリア・ファシズムの思想的源流になったという評価もある。主著は『経済学講義』全2巻(1896、1897)、『経済学提要』(1906)、『一般社会学提要』(1920)など。

[志田 明]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パレート」の意味・わかりやすい解説

パレート
Pareto, Vilfredo

[生]1848.7.15. フランス,パリ
[没]1923.8.19. スイス,ジュネーブ
イタリアの経済学者,社会学者。トリノ工科大学卒業後実業界に入ったが,マフェオ・パンタレオーニの影響によって経済学に関心をもち,その推薦で 1893年レオン・ワルラスの跡を継いで 1900年までローザンヌ大学教授を務めた。ワルラスを継承して一般均衡理論の大成に貢献した。また従来効用の可測性を前提に成立していた限界効用理論から効用可測性の問題を排除し,いわゆるパレート最適の概念を導入して,新厚生経済学の基礎を築いた。晩年は社会学に関心を移し,エリート循環論や社会均衡論などで知られる独自の社会学体系を樹立した(→エリートの周流)。『経済学講義』Cours d'économie politique(2巻,1896~97),『経済学提要』Manuale d'economia politica(1906),『一般社会学概論』Trattato di sociologia generale(2巻,1916)など著書多数。

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百科事典マイペディア 「パレート」の意味・わかりやすい解説

パレート

イタリアの経済学者,社会学者。ローザンヌ大学教授。効用は測定不可能としてワルラスの限界効用学説を脱皮し,無差別曲線に基づく消費者選択の理論を開拓,一般均衡理論を前進させ,また資源配分の効率性の基準としてパレート最適性の概念を示した。社会学ではエリートによる循環発展を説きファシズムの源流をなす。主著《経済学提要》。
→関連項目エリート高田保馬ローザンヌ学派

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「パレート」の解説

パレート
Vilfredo Pareto

1848~1923

イタリアの経済学者,社会学者。ローザンヌ大学の経済学教授となり,数理経済学にもとづき,均衡理論を練り上げた。またエリート論を展開して,議会制民主主義を批判した。

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