日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒゲコケムシ」の意味・わかりやすい解説
ヒゲコケムシ
ひげこけむし / 鬚苔虫
crisid bryozoan
触手動物門苔虫(こけむし)綱円口目ヒゲコケムシ科に属する海産小動物の総称。個虫とよばれる体長1ミリメートル以下の小さな動物体が多数癒着して群体をつくる。海底の岩、貝殻、海藻などの上に成長する高さ1~2センチメートルの茂み状群体をひげに見立ててこの名がついている。群体は樹枝状に枝分れする。1本の枝は1個から十数個の個虫の集まりで成り立ち、各枝と枝はキチン質の関節でつながる。個虫は、白色石灰質でできた長楕円(ちょうだえん)形の虫室と、その中に収まった虫体とよばれる軟体部よりなる。円口類の常として、虫室先端の開口は円形で口蓋(こうがい)をもたない。
日本沿岸からは潮間帯で普通にみられるシロヒゲコケムシCrisia eburneo-denticulataや、群体の各枝にむち状の突起をもつムチヒゲコケムシBicrisia edwardsianaなど合計3属8種ほどが知られている。
[馬渡峻輔]