ヒッパロスの風(読み)ヒッパロスのかぜ

改訂新版 世界大百科事典 「ヒッパロスの風」の意味・わかりやすい解説

ヒッパロスの風 (ヒッパロスのかぜ)

インドと地中海沿岸,アラビア半島とを結ぶ貿易に利用された季節風。インド洋では夏の南西風と冬の北東風の季節風が定期的に吹く。海上交易を行っていたアラブ商人たちは前1世紀の中葉に,この季節風を利用すればインド洋沿岸ルートよりも航海が早いことを知った。前1世紀のギリシア人ヒッパロスHippalosが発見したという伝承によってこの名で呼ばれるが,実際にはギリシア人以前にフェニキア人,インド人などが利用していたと考えられる。この風による航海について正確に記述しているのは1世紀の大プリニウスであり,彼の《博物誌》には〈アラビア南部のオケリスからヒッパロスの風を利用してインド南西部海岸のムジリスに至る航路がある。その間,片道40日を要する〉とある。《エリュトラ海案内記》にはこの風の命名の由来が述べられている。のちには〈貿易風〉とも呼ばれるようになった。
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