ヒポキルタ(その他表記)Hypocyrta

改訂新版 世界大百科事典 「ヒポキルタ」の意味・わかりやすい解説

ヒポキルタ
Hypocyrta

イワタバコ科の1属で,ブラジルを中心に約10種あまりが分布する。着生ないし半着生のやや木本性の植物で,茎は四方によく伸びて広がる。ヒポキルタ属は花形に特徴があり,花筒の基部がフグのようにふくれる。学名のヒポキルタも“下部がふくれる”という意味である。花の観賞とともに観葉植物として,若干の野生種と園芸品種が栽培されている。

 近年,日本で栽培されているおもな種類は,ヒポキルタ・ラディカンスH.radicans Klotzsch et Hanst.(=Nematanthus gregarius D.Denh.)である。この種は,茎の先端は緑色で軟らかいが,基部は木質化する。葉は対生し,楕円形光沢があり,多肉である。花は葉腋(ようえき)に単生し,花筒は下部がふくれた後,喉部で急にせばまり,先は短く5裂する。橙色花で,花期は主に秋から春。繁殖挿木による。元来は着生のものだから,通気のよい土で栽培する。
執筆者:

出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

関連語をあわせて調べる

今日のキーワード

ベートーベンの「第九」

「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...

ベートーベンの「第九」の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android