改訂新版 世界大百科事典 「ヒメノウゼンカズラ」の意味・わかりやすい解説
ヒメノウゼンカズラ
Tecomaria capensis (Thunb.) Spach
ややつる状をなしたノウゼンカズラ科の常緑低木。花は漏斗形で十数花を総状につけ,赤橙色または緋色で美しい。鉢物として多く利用される。原産地は南アフリカ。高さ2.5mくらいになり,はい上がる。対生する葉は奇数羽状複葉で長さ10cmくらい,小葉を7~9枚つける。小葉は対生し,卵形で大小あり,長さ1.7~4cmで先はとがり,浅い鋸歯がある。長さ約5cmの花は,鐘状で先は深く5裂した萼と,花筒部先に向かって広がりやや外側に反り,先が4裂した花冠を有し,枝先の総状花序にかたまってつく。おしべとめしべは長く,花外へ突出する。開花期は夏から秋。繁殖は挿木または取木で行い,取木にはつる状の茎を地にはわせ発根させる方法や,枝に水ごけを巻いてとる方法がある。発根は容易で,じょうぶで作りやすい。鉢植えのほか,壁にそって育てたり生垣とする。日当りのよい場所を好む。
執筆者:古里 和夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報