改訂新版 世界大百科事典 「ヒュルカノス2世」の意味・わかりやすい解説
ヒュルカノス[2世]
Hyrkanos Ⅱ
生没年:?-前30
ユダヤのマカベア(ハスモン)家の王,大祭司。在位,前67年,前63-前40年。前76年母アレクサンドラの女王就任後大司祭となり,母より後継王に指名されたが,母の死後まもなく弟アリストブロス2世に王位と大祭司職を奪われた。ナバテア王アレタス3世とアンティパトロスに助けられて弟と争っているところへローマ軍が介入,ポンペイウスのおかげで前63年のエルサレム陥落後大祭司に任命された。しかしその領土はローマの属国となり,統治の実権はしだいにアンティパトロスとその2人の息子の手に移った。前40年に侵入したパルティア人に助けられた甥のアンティゴノスに捕らえられ,耳を切られて大祭司不適格者となり,パルティアへ連行されたが,バビロニアのユダヤ人共同体の首長として尊重された。前36年に帰国したが,マカベア家再興を恐れる義理の孫ヘロデ大王により暗殺された。
執筆者:土岐 健治
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報