岐阜県東濃(とうのう)地方にある陶磁器工業都市。1955年(昭和30)土岐津(ときつ)、妻木(つまぎ)、下石(おろし)、駄知(だち)、泉(いずみ)の5町と鶴里(つるさと)、曽木(そぎ)、肥田(ひだ)の3村が合併して市制施行。JR中央本線、国道19号、21号、363号が通じ、中央自動車道土岐インターチェンジ、東海環状自動車道土岐南多治見インターチェンジがあり、両自動車道は土岐ジャンクションで接続している。陶磁器製造は、西流する土岐川や支流に沿って分散する盆地で行われ、生産額は東濃の他の都市をしのぐ。和飲食器には、土岐津、泉の番煎茶碗(わん)、下石の徳利、駄知の丼(どんぶり)、肥田の皿などがあり、洋飲食器の生産も、土岐津、妻木をはじめ各地に発達している。また、東濃研究学園都市構想が進められ、土岐プラズマ・リサーチパーク、核融合科学研究所などがある。南部の高原には柿野(かきの)、曽木の温泉があり、三国山は美濃(みの)、尾張(おわり)、三河にまたがり、眺めがよい。交通の便のよい丘陵地では、住宅地、工業地などの開発が進んでいる。また、泉地区の久尻(くじり)には乙塚古墳、元屋敷窯跡があり国指定史跡である。美濃の壺石、白山神社のハナノキおよびヒトツバタゴは国の天然記念物。妻木の標高約400メートルの城山は、土岐(妻木)氏の城跡で、麓(ふもと)に武家屋敷跡もある。なお、同所の八幡(はちまん)神社では毎年10月に流鏑馬(やぶさめ)の神事がある。面積116.02平方キロメートル(境界は一部未定)、人口5万5348(2020)。
[上島正徳]
『『土岐市史』全3巻(1970~1974・土岐市)』
岐阜県南東部の市。1955年土岐津,泉,妻木,下石(おろし),駄知の5町,鶴里,曾木,肥田の3村が合体,市制。人口6万0475(2010)。市の北部を土岐川が西流し,東部を肥田川,中央部を妻木川が北流して土岐川に注ぐ。市域の大部分は丘陵地で平地に乏しい。古くから美濃焼の産地として知られ,元屋敷陶器窯跡(史)などの古窯跡が残る。明治以降,とくに中央本線の開通後は陶磁器の生産が活発となり,一大生産地帯に発展した。おもに飲食器を生産し,旧来は駄知のどんぶり,妻木のコーヒー茶わん,下石のとくりなど生産品に地域的分化がみられたが,近年はどこも日常用食器の生産を行っている。零細工場による生産が大部分で,とくに和飲食器の規模は小さい。中央自動車道土岐インターチェンジがあり,現在のJR中央本線の電化や国道19号,21号,363号線などの道路が整備されて住宅地化が進んでいる。広い山林を利用した県青少年総合活動センターなどの公共施設も設置されている。天然記念物に美濃の壺石,白山神社のハナノキ,ヒトツバタゴがあり,古墳や窯跡も多い。1963年に市北部でウラン鉱床が発見され,一時期本格的探鉱が進められた。
執筆者:高橋 百之
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