日本大百科全書(ニッポニカ) 「アンティパトロス」の意味・わかりやすい解説
アンティパトロス
あんてぃぱとろす
Antipatros
(前397―前319)
マケドニア王家の重臣。ペルディッカス3世、フィリッポス2世、アレクサンドロス3世(大王)の3代に仕え、大王没後は帝国遺領の統一を維持しようとする勢力の中心であった。大王の東征中は「在欧司令官」として留守を守り、事実上マケドニアを掌握した。大王没後のギリシア諸国の反乱をくじき(ラミア戦争、前323~前322)、対立者であるペルディッカスPerdikkas(前365ころ―前321)将軍の横死後は帝国摂政の地位を襲った(前321)。紀元前319年彼の死をもってアレクサンドロス帝国は最終的に瓦解(がかい)し、以後局面はディアドコイへの分裂に入る。
[金澤良樹]