改訂新版 世界大百科事典 「ヒラウミキノコ」の意味・わかりやすい解説
ヒラウミキノコ
Sarcophyton elegans
花虫綱ウミトサカ科の腔腸動物(刺胞動物)。紀伊半島以南から南太平洋のサンゴ礁地方に広く分布し,浅海に産する。群体はキノコ状で,直径5~6cmほどの短い柄部の上に,直径20cm内外の冠部が広がり,全体は淡灰色や汚褐色。冠部の中央部はくぼみ,縁がひだ状になっている。ポリプには通状個員と管状個員との2型が見られる。通常個員は8対の羽状小枝をもち,よくのびると長さが5mmになり,冠部上に2~8mm間隔で分布する。管状個員は小さく,2個の通常個員の間に5~10個の個員が存在する。また,冠部の表層には長さ0.06~0.4mmの棍棒状骨片があり,内部には長さ0.5mmほどの紡錘状の骨片が見られる。いわゆるソフトコーラルの一種。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報