ポリプ(読み)ぽりぷ(英語表記)polyp

翻訳|polyp

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ポリプ」の意味・わかりやすい解説

ポリプ
ぽりぷ
polyp

腔腸(こうちょう)動物にみられる基本的な体型の一つで、「クラゲ」に相対する形態。クラゲが一般に自由遊泳生活をしているのに対して、ポリプ原則として付着生活をする。ポリプとクラゲは根本的な構造上の違いはないが、このような生活にそれぞれ適応した形態の差はみられる。ポリプは一般に円筒形で、他物に付着するほうと反対側の上端に口が開き、その周りには1列から数列の触手がみられる。おもに触手を使ってとらえた餌(えさ)を口から体内部の胃腔(いこう)へ取り入れ、そこで消化が行われる。ヒドロ虫綱ではポリプの胃腔は簡単な構造であるが、ハチクラゲ綱、花虫綱のポリプでは胃腔中に4個から多数個の縦の隔膜がみられる。ポリプは芽出、縦分裂など無性的な増殖を行うことが多い。

[山田真弓]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ポリプ」の意味・わかりやすい解説

ポリプ
polyp

刺胞動物ヒドロ虫類鉢虫類花虫類などのうち固着生活をする型をいう。体は円筒形で上端に口が開き,その周囲触手が並ぶ。ヒドロサンゴ類,イシサンゴ類ヤギ類などは分裂によって個虫を増やして大きな群体を形成する。ヒドラのように一生ポリプ型で吸着生活をするものもあるが,個虫が変形していくつかのクラゲを生じたり,個虫の体側にできた生殖体からクラゲを生じるものもある。(→無脊椎動物

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