日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヒルガタワムシ」の意味・わかりやすい解説
ヒルガタワムシ
ひるがたわむし / 蛭形輪虫
袋形(たいけい)動物門輪毛虫綱ヒルガタワムシ目Bdelloideaの淡水生動物の総称。ドロヒルガタワムシ科3属、ミズヒルガタワムシ科11属、ハナゲヒルガタワムシ科2属、ニセミズヒルガタワムシ科3属とシンケントロン科2属の5科約700種からなる。体は細長い円柱状で500マイクロメートルほどであるが、頭部や脚部は天体望遠鏡の筒のようにつねに収縮と伸長を繰り返している。脚指の基部から粘液を分泌するため、ヒルのような運動を行うが、環境が急変すると遊泳しその場から去るか、収縮してシスト(胞嚢(ほうのう))を形成するようになる。輪毛器、口唇、咀嚼(そしゃく)器と脚指の形状、消化管の有無などが分類の標徴となる。雄虫が存在しないため、絶対的単為生殖を営み、強度の耐性を備えている。
和名ヒルガタワムシは、土壌などの間隙(かんげき)水よりは、水草など繁茂した少水量の水たまりに生息する世界的普遍種。この種は、体長約1ミリメートル。吻(ふん)部に2個の赤色眼点を備える。
[鈴木 實]