改訂新版 世界大百科事典 「ヒルギモドキ」の意味・わかりやすい解説
ヒルギモドキ
Lumnitzera racemosa (Willd.) Willd.
マングローブに生えるシクンシ科の常緑の低木または小高木で,高さ8~10m,直径30cmになる。呼吸根はもたない。葉は長さ3~9cmの狭倒卵形~長楕円形,全縁,多肉の革質で,小枝の先に集まって互生する。花は径6~10mm,白色の小花で葉腋(ようえき)に生じた短い総状花序につく。萼筒は先が5裂し,花弁5枚,おしべ10本。果実は緑色,やや木質で,長さ1~1.5cmの長楕円形。マングローブの樹木ではあるが,ヒルギ科の樹木と異なり種子は胎生ではない。アフリカ東岸から東南アジア,ポリネシアにわたる熱帯の海岸に広く分布し,北限として沖縄本島にまでみられる。
ヒルギモドキ属Lumnitzeraにはもう1種ベニバナヒルギL.littorea (Jack) Voigt(一名アカバナヒルギモドキ)が東南アジアからポリネシアのマングローブにあり,この方が木が大きくなり,ふつう膝根(しつこん)型の気根をもち,花が赤い。両種ともマングローブの陸に近い側に生育する。
執筆者:緒方 健
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報