ビロードコガネ(その他表記)Maladera japonica

改訂新版 世界大百科事典 「ビロードコガネ」の意味・わかりやすい解説

ビロードコガネ
Maladera japonica

甲虫目コガネムシ科の昆虫。小型で体長8~9mm。体は黒色または暗赤褐色で,上翅は後方へやや幅広くなる。前脚の脛節けいせつ)の外縁には3個の歯がある。北海道から九州まで分布し,成虫は4月末ころから出現する。成虫は葉を食し,土中へ産卵する。幼虫は根を食べて成育するため,しばしば苗木などが加害される。卵から成虫までの期間は1~2年。秋,成虫となったものはそのまま越冬し,翌春地上へ現れる。幼虫は2齢または3齢(終齢)で越冬するが,3齢の体重は2齢の約5倍。ビロードコガネ亜科には体長10mm内外の種が多い。形態的には後脚の基節が第1腹節を大きく覆う。また脛節の末端にある2本のとげ(端刺(たんし))が互いに離れているなどの特徴をもつ。数属に分類されているが,同属のヒメビロードコガネM.orientalisアカビロードコガネM.castaneaなどはビロードコガネに類似する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ビロードコガネ」の意味・わかりやすい解説

ビロードコガネ
びろーどこがね
[学] Maladera japonica

昆虫綱甲虫目コガネムシ科ビロードコガネ亜科Sericinaeの昆虫。日本各地に分布する。体長8、9ミリ。黒色から暗赤褐色で光沢がなく、ビロード状を呈し、卵形で背面は強く膨れる。前脚の脛節(けいせつ)外縁は先端に二歯があるほか、手前にごく鈍い歯か角張りがある。4月ごろから現れ、草原畑地におり、夜は灯火にも飛んでくる。幼虫は土中で草の根を食べて育ち、一世代は1~2年、秋に羽化したものはそのまま越冬する。近縁種にはヒメビロードコガネ、カミヤビロードコガネ、アカビロードコガネなどがある。ビロードコガネ亜科の種類は、小形で卵形ないし長楕円(だえん)形で体表の光沢が鈍いものが多く、おもに夜間に活動する。日本産は約80種が知られているが、そのなかではヒゲナガビロードコガネ類、チャイロコガネ類の種類が多い。

[中根猛彦]

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