長閑(読み)ノドカ

デジタル大辞泉 「長閑」の意味・読み・例文・類語

のど‐か【長閑】

[形動][文][ナリ]
静かでのんびりとして落ち着いているさま。「長閑な正月気分」「長閑口調
空が晴れて、天候が穏やかなさま。うららかなさま。「長閑小春日和 春》几巾いか白し―過ぎての夕ぐもり/太祇
ゆったりとくつろぐさま。急がないで気長に構えるさま。
「その日―に暮らして、またの日帰る」〈かげろふ・中〉
気にかけないさま。のんき。
「人数なる世もやと待つ方は、いと―に思ひなされて」〈帚木
[派生]のどかさ[名]
[類語](1心静か穏やか温和物静かおとなしやか安らか安穏悠長悠然悠悠悠揚浩然どっしり気長伸び伸び伸びやかのんびり屈託無い自然体のんどり内気弱気引っ込み思案気弱内弁慶陰弁慶臆病大人しいこわがり小心小胆怯懦きょうだ怯弱きょうじゃく意気地なし小心翼翼弱腰薄弱惰弱柔弱軟弱優柔不断やわやわ弱弱しい女女しい弱音を吐く・音を上げる悲鳴を上げる・気が弱い腰が弱い煮え切らない肝が小さい・肝っ玉が小さい・温順柔順従順温柔温良順良素直控えめ優しい内向的人見知りしんねりむっつりシャイしなやかしとやかなよやかなよなよしっとり物柔らか静静しずしずソフトおっとり婉然えんぜんしおらしい閑語たおやかナイーブ心優しい柔和温雅鷹揚おうよう静心しずこころ従容しょうよう悠悠閑閑おおどかつつましい奥ゆかしい泰然自若平静冷静しみじみしっぽりしんみり静まる温顔温容穏便粛粛静謐せいひつ静粛/(2晴朗晴れやか晴れ晴れうららかうらうら好天晴天春風駘蕩しゅんぷうたいとう/(3うららかうらうら穏やか/(4安穏安らか

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精選版 日本国語大辞典 「長閑」の意味・読み・例文・類語

のど‐か【長閑・閑】

  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙 ( 「か」は接尾語 ) さしせまった感じや、きわだった動きがなく、静かで穏やかなさま。のど
  2. 状態、雰囲気(ふんいき)などが、静かで穏やかなさま。
    1. [初出の実例]「うらうらと春なりければ、海いとのどかになりて」(出典:平中物語(965頃)三五)
  3. 天気がよく、静かで穏やかなさま。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「あをやぎのいとうちはへてのどかなるはる日しもこそおもひいでけれ」(出典:大和物語(947‐957頃)三)
  4. 性質態度、動作などが、ゆったり落ち着いていて、静かで穏やかなさま。
    1. [初出の実例]「人は童、大人ともいはず儺やらふ儺やらふと騒ぎののしるを、我のみのどかにてみきけば」(出典:蜻蛉日記(974頃)中)
  5. のんびりとくつろいでいるさま。時間的にゆとりのあるさま。また、物事が長びくさま。
    1. [初出の実例]「今日だにのどかにと思ひつるを、便なげなりつれば。いかにぞ」(出典:蜻蛉日記(974頃)上)
  6. さしせまった用事もなく、暇なさま。
    1. [初出の実例]「大将殿、すこしのどかになりぬる頃、例の、忍びておはしたり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)浮舟)
  7. 気にかけないさま。のんきなさま。安心しているさま。
    1. [初出の実例]「いづれの人か御心のどかにて籠りおはせん」(出典:宇津保物語(970‐999頃)嵯峨院)

長閑の補助注記

名詞として用いられた例も見られる。「手鞠唄、紙鳶(たこ)のうなりも自然(おのづから)長閑(ノドカ)をさそふ往来の」〔滑・七偏人‐初〕など。

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普及版 字通 「長閑」の読み・字形・画数・意味

【長閑】ちようかん

のどか。

字通「長」の項目を見る

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