改訂新版 世界大百科事典 「ピエロラピテクス」の意味・わかりやすい解説
ピエロラピテクス
Pierolapithecus
スペイン,バルセロナ郊外で発見された1200万年前の大型化石類人猿。2004年にS.モヤ・ソラらによって記載された。ピエロラピテクス・カタラウニクスP.catalaunicus1種のみを含む。属名は発見地の村名に,種小名はカタロニア州にちなむ。肋骨の形態から,ピエロラピテクスは,現生類人猿同様に前後に平たく幅の広い胸郭をもっていたと考えられている。しかし,指が比較的短いなど,現生類人猿と異なり,木の枝からぶら下がるような運動にはあまり適応していない。類人猿が現代的な特徴を獲得してきた途中の段階を表していると考えられている。しかし,同時代の他の類人猿がどのような胸郭をもっていたかを知る手がかりがなく,ピエロラピテクスの現代的胸郭が現生大型類人猿のものと起源を共にするかどうかについては明らかでない。
執筆者:中務 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報