改訂新版 世界大百科事典 「ピテケロビウム」の意味・わかりやすい解説
ピテケロビウム
Pithecellobium
熱帯域に200種ほどが分化しているマメ科キンキジュ属の高木になる木本植物。托葉はしばしばとげ状になり,葉は2~3回羽状複葉で,少数から多数の羽片を有する。果実はコイル状によじれ曲がり,その形から英語でmonkey's earringと呼ばれることがある。
キンキジュP.dulce Benth.(英名Manila tamarind,camachile,huamuchil,guamachil,Madras thorn)は中米熱帯原産で樹高20mをこえる大きさになり,枝を四方に広げて美しいので,熱帯域の街路樹としてしばしば栽植されている。長さ3cmほどの4小葉からなる葉は,2回羽状複葉。花は穂状につき白色,豆果はよじれ,長さ20cmほどで,莢(さや)ごと落下する。莢は多量に食べると有毒であるが,食用にされる。材は赤褐色で硬く粘りがあり,建築材に利用される。
キンキジュ属の樹木のなかには,有用材として利用される野生種がいくつかあるが,それほど重要ではない。
執筆者:堀田 満
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報