葉の葉柄基部付近に生ずる葉的な部分をいう。双子葉植物に多くみられ、普通は1対となっている。葉は一般に葉身と葉柄と托葉から成り立つといわれ、托葉は葉を構成する基本的な部分であるが、葉柄と托葉の一方、あるいは両方をもたない葉も多い。托葉は葉身に比べて芽の中での成長が速く、未発達の葉身を保護する役割をもつといわれる。また、托葉は春、芽が開いて葉身が展開すると落ちてしまうことが多い。普通、冬芽を覆う鱗片葉(りんぺんよう)は葉に相当するものとみられるが、カバノキ科、ブナ科、ニレ科では、その鱗片葉が托葉に相当するものであると考えられている。エンドウでは托葉に相当する部分が比較的大きく、葉身の部分とともに葉が枯れるまで光合成を行っているし、ユリノキの托葉も緑色で、比較的長く生存する。このように、托葉にはさまざまなものがあり、また系統的にも異なった起源があると思われるが、この問題は学問的には未解決となっている。
[原 襄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…小さい葉の例としてはウキクサの仲間の例や,コケシノブ科には0.5mmに達しないものもある。葉は葉柄と葉身からできており,托葉をもつものもある。葉柄petiole(stipe)は発達しないものもあるが,一見茎のようにしっかりしているものもある。…
※「托葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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