托葉(読み)たくよう

日本大百科全書(ニッポニカ)「托葉」の解説

托葉
たくよう

葉の葉柄基部付近に生ずる葉的な部分をいう。双子葉植物に多くみられ、普通は一対となっている。葉は一般に葉身と葉柄と托葉から成り立つといわれ、托葉は葉を構成する基本的な部分であるが、葉柄と托葉の一方、あるいは両方をもたない葉も多い。托葉は葉身に比べて芽の中での成長が速く、未発達の葉身を保護する役割をもつといわれる。また、托葉は春、芽が開いて葉身が展開すると落ちてしまうことが多い。普通、冬芽を覆う鱗片葉(りんぺんよう)は葉に相当するものとみられるが、カバノキ科、ブナ科、ニレ科では、その鱗片葉が托葉に相当するものであると考えられている。エンドウでは托葉に相当する部分が比較的大きく、葉身の部分とともに葉が枯れるまで光合成を行っているし、ユリノキの托葉も緑色で、比較的長く生存する。このように、托葉にはさまざまなものがあり、また系統的にも異なった起源があると思われるが、この問題は学問的には未解決となっている。

[原 襄]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「托葉」の解説

托葉
たくよう
stipule

葉柄の基部付近に生じる葉身とは別の葉状片で,双子葉植物で例が多い。エンドウのように,葉身のおのおのの小葉よりむしろ大型になっていることもあるが,同じマメ科でも線状の小托葉をもつにすぎないものもあり,サルトリイバラではつる状,ニセアカシアではとげに変形するなど,大きさ,形状は変化に富む。葉が伸びきったときには脱落するものが多い。単子葉植物ではやや例が少く,裸子植物では存在しない。

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精選版 日本国語大辞典「托葉」の解説

たく‐よう ‥エフ【托葉】

〘名〙
① 葉の葉柄の基部付近にある付属体。双子葉植物で最もよくみられるが、葉状(エンドウ)、突起状(サクラ)、刺状など形は種類によって異なり、これを欠く種もある。〔植学訳筌(1874)〕
② 霜除けのために花を綿でおおうこと。また、その綿。きせわた。
※江戸繁昌記(1832‐36)初「若しくは托葉(〈注〉キセワタ)を作(な)して花に衣(き)せ」

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世界大百科事典内の托葉の言及

【葉】より

…小さい葉の例としてはウキクサの仲間の例や,コケシノブ科には0.5mmに達しないものもある。葉は葉柄と葉身からできており,托葉をもつものもある。葉柄petiole(stipe)は発達しないものもあるが,一見茎のようにしっかりしているものもある。…

※「托葉」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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