化学辞典 第2版 「ファジィ推論法」の解説
ファジィ推論法
ファジィスイロンホウ
fuzzy estimation
1965年にLotfi.A. Zadehが提唱したファジィ理論による推論法.ファジィとはあいまいさや不正確さを取り扱う応用数学の体系のことで,この体系を通して現象を予想する方法.厳密な(一般の)集合では部分集合が全体集合に属すか属さないかを明確に区別するが,ファジィ集合では明確ではなく確率的に区別する.たとえば,背が高い人というファジィ集合では,170 cm の人は,40% 背が高い人であり,60% 背が低い人と判断するなら,この人は0.4背が高い人ということになる.ファジィ推論では,真理値や推論規則もファジィである.通常のエアコンでは,指定した室温以上でスイッチが入り,それ以下ではスイッチが切れるが,ファジィ制御のエアコンでは,室温が設定値の上限に近づけばスイッチが入り,室温がほぼ正しい範囲に入れば切れるように,スイッチの作動温度に幅をもたせてある.反応槽や恒温槽の温度制御などの機械制御,言語解析やセンサーの応答解析などに応用されている.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報