シャブロル(読み)しゃぶろる(その他表記)Claude Chabrol

デジタル大辞泉 「シャブロル」の意味・読み・例文・類語

シャブロル(Claude Chabrol)

[1930~2010]フランス映画監督。「美しきセルジュ」で監督デビュー。「いとこ同志」がベルリン国際映画祭金熊賞を受賞し、ヌーベルバーグ旗手として注目された。作「二重の鍵」「主婦マリーがしたこと」など。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「シャブロル」の意味・わかりやすい解説

シャブロル
しゃぶろる
Claude Chabrol
(1930―2010)

フランスの映画監督。パリ生まれ。薬科大学卒業後『カイエ・デュ・シネマ』誌に映画批評を書き、1957年にはエリック・ロメール共著ヒッチコック論』を出版。同年、妻の伯母の遺産によって『美しきセルジュ』を自主製作して監督としてデビュー、その素人(しろうと)製作と新鮮な映像で当時の映画界を驚かせ、第二作『いとこ同志』(1959)とともにヌーベル・バーグ先鞭(せんべん)をつけた。ヒッチコックへの傾倒からサスペンスものが多く、『二重の鍵(かぎ)』(1959)、『ジャガーの眼(め)』(1965)、『交換結婚』(1972)、『ビオレット・ノジエール』(1978)、『主婦マリーがしたこと』(1988)、『ボヴァリー夫人』(1991)、『愛の地獄』(1994)などがある。

[村山匡一郎]

資料 監督作品一覧

美しきセルジュ Le beau Serge(1957)
いとこ同志 Les cousins(1959)
二重の鍵 À double tour(1959)
気のいい女たち Les bonnes femmes(1960)
ダンディ Les godelereux(1961)
新・七つの大罪~「貪欲」 Les sept péchés capitaux - L'avarice(1962)
青髭 Landru(1963)
世界詐欺物語 Les plus belles escroqueries du monde - L'homme qui vendit la Tour Eiffel(1964)
暗殺指令 虎は新鮮な肉を好む Le Tigre aime la chair fraîche(1964)
パリところどころ~「ミュエット」 Paris vu par... - La Muette(1965)
ジャガーの眼 Marie Chantal contre Dr. Kha(1965)
スーパータイガー 黄金作戦 Le Tigre se parfume à la dynamite(1965)
殺意 Le scandale(1966)
女鹿 Les biches(1968)
不貞の女 La femme infidèle(1968)
肉屋 Le boucher(1969)
J-P・ベルモンドの交換結婚 Docteur Popaul(1972)
ビオレット・ノジエール Violette Nozière(1978)
他人の血 Le sang des autres(1984)
ふくろうの叫び Le cri du hibou(1987)
主婦マリーがしたこと Une affaire de femmes(1988)
クリシーの静かな日々 Jours tranquilles à Clichy(1990)
Dr. M ドクトル・エム Dr. M(1990)
ボヴァリー夫人 Madame Bovary(1991)
愛の地獄 L'enfer(1994)
沈黙の女 ロウフィールド館の惨劇 La cérémonie(1995)
最後の賭け Rien ne va plus(1997)
嘘の心 Au coeur du mensonge(1999)
甘い罠 Merci pour le chocolat(2000)
悪の華 La fleur du mal(2003)
石の微笑 La demoiselle d'honneur(2004)
権力への陶酔 L'ivresse du pouvoir (2006)
引き裂かれた女 La fille coupée en deux(2007)
刑事ベラミー Bellamy(2009)

『フランソワ・ゲリフ著、大久保清朗訳『不完全な醍醐味』(2011・清流出版)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「シャブロル」の意味・わかりやすい解説

シャブロル
Chabrol, Claude

[生]1930.6.24. パリ
[没]2010.9.12. パリ
フランスの映画監督,脚本家,映画制作者。ヌーベルバーグの旗手として活躍したミステリー映画の巨匠。アルフレッド・J.ヒッチコックの影響を受けてグロテスクな表現にこだわり,悲劇と喜劇を混在させる皮肉な描き方をした。1957年には共著でヒッチコック論を上梓した。パリ大学に学び,アメリカ合衆国の大手映画会社 20世紀フォックスのフランス支社に勤務後,映画監督に転身した。長編デビュー作『美しきセルジュ』Le Beau Serge(1958)で高く評価されて興行的にも成功し,2人目の妻の女優ステファーヌ・オードランを起用して『いとこ同志』Les Cousins(1959,ベルリン国際映画祭金熊賞)などを発表。ヌーベルバーグ衰退後も精力的に制作を続け,『ヴィオレット・ノジエール』Violette Nozière(1978),『ボヴァリー夫人』Madame Bovary(1991),『悪の華』La Fleur de mal(2003),『引き裂かれた女』La Fille coupée en deux(2007)などを制作した。

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百科事典マイペディア 「シャブロル」の意味・わかりやすい解説

シャブロル

フランスの映画監督。パリ生れ。ヌーベル・バーグの一人。《カイエ・デュ・シネマ》誌で批評家として活動し,《ヒッチコック》(1957年,E.ロメールと共同執筆)を刊行する。《美しきセルジュ》(1957年)で監督デビュー。《いとこ同志》(1959年)でベルリン映画祭金熊賞受賞。その後,《女鹿》(1968年),《不貞の女》(1969年),《肉屋》(1970年),《日暮れ前》(1971年),《血の婚礼》(1972年)など,ヒッチコック的世界をフランスに受容することを試みたサスペンス映画を主に発表。ほかに《主婦マリーがしたこと》(1988年),《ボバリー夫人》(1991年)などがある。

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