フォン・ウィレブラント病

六訂版 家庭医学大全科 の解説

フォン・ウィレブラント病
(子どもの病気)

 フォン・ウィレブラント因子VWF)は、出血箇所の障害血管内皮の皮下組織に血小板が粘着する際に、接着分子としてはたらきます。また凝固第Ⅷ因子が血漿(けっしょう)中で安定して存在するためのキャリア蛋白としての役割ももっています。

 フォン・ウィレブラント病(VWD)はVWFの質的あるいは量的異常による先天性の出血性疾患で、いくつかの亜型に分類されますが、量的低下によるタイプ1が75%を占めます。先天性出血性疾患のなかでは血友病に次いで頻度が高く、血友病と区別することが重要です。

 血友病は、家族性の場合は伴性劣性遺伝(はんせいれっせいいでん)をとるため男性に発症しますが、VWDは常染色体劣性(じょうせんしょくたいれっせい)優性遺伝(ゆうせいいでん)形式のため男女ともに発症します。血友病では関節内や筋肉内などの深部に出血症状がみられますが、VWDでは皮下出血や鼻出血、口腔内出血などの粘膜出血が特徴的です。

 診断のための検査としては、凝固検査でプロトロンビン時間が正常、活性化部分トロンボプラスチン時間が延長する点は血友病と共通ですが、VWDでは出血時間が延長します。第Ⅷ因子活性はVWF抗原量に併行して低下を示すため、血友病Aとの区別が必要です。このためVWDと確定診断をするためにはVWF抗原量とリストセチン・コファクター活性の30%以下の低下を証明する必要があります。

 タイプ1以外の亜型を診断するためには、さらに詳しい検査が行われます。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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